2000 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロサテライト領域に関わる国内主要造林樹種育種DNAマーカーの開発
Project/Area Number |
11556027
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宝月 岱造 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 教授 (10107170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 克己 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 助教授 (80211895)
井出 雄二 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (90213024)
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Keywords | アカマツ / ヒノキ / スギ / マイクロサテライト多型マーカー / ISSR / gene walking法 / メンブランフィルター |
Research Abstract |
本研究の目的を十二分に達成するには、マイクロサテライトを短時間で多数開発する必要がある。昨年度は、アカマツとヒノキのマイクロサテライトマーカーの開発を、フィルターによるマイクロサテライト領域濃縮法を用いて行った。今年度は、マイクロサテライトをさらに短時間でしかも多数開発するための方法開発に力を注いだ。その結果、濃縮法とは全く異なる原理に基づく方法を開発した。この方法で、現在試験的に様々な樹木種、菌類のマイクロサテライトを開発しているが、どの種でも、多数のマイクロサテライトマーカーを従来の方法に比ベ飛躍的に簡単にしかも短時間で開発することに成功している。この方法の概要は以下の通りである。 (1)マイクロサテライトプライマーを用いてゲノムDNAを増幅し、ISSR断片を得る。(2)それをサブクローニングし、多数のISSR断片の塩基配列を決定する。(3)ISSR断片の配列からプライマーを設計する。(4)一方、ゲノムDNAを一つの制限酵素で切ったのち、制限断片に特殊なアダプターを付け、アダプター付き制限ライブラリーを作る。このようなアダプター付き制限ライブラリーを6種の制限酵素について作る。(5)ISSR配列から設計したプライマーとアダプター配列から設計したプライマーによるgene walking法によって、ISSR配列から設計したプライマー配列を含む断片のプライマーまでの塩基配列を決定する。この中には、マイクロサテライト配列が含まれていることになる。(6)決定した配列からマイクロサテライトの両側にプライマーを設定すれば、マイクロサテライトマーカーが完成する。 この方法は、これまでに報告されている方法に比べて、極めて容易で時間がかからず、また、確実性が高い。今後あらゆる生物種で、汎用的な優れた方法として利用されるであろう。
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