2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11556033
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
井上 雅文 京都大学, 木質科学研究所, 助手 (20263155)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金山 公三 名古屋工業技術研究所, 構造プロセス部, 主任研究官
師岡 敏朗 京都大学, 木質科学研究所, 助教授 (00192378)
則元 京 京都大学, 木質科学研究所, 教授 (20027163)
藤井 義久 京都大学, 農学研究科, 助教授 (10173402)
児玉 順一 山本ビニター株式会社, 高周波技術部, 主任研究員
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Keywords | 木材 / 横圧縮変形 / ロールプレス / 破壊 / ワニ口破壊 / 表面割れ / 強度的性質 / 圧入角 |
Research Abstract |
試作したロールプレス機を用いて、木材の横圧縮試験を行うとともに、加工材の物性を調べ、両者の関係を考察した。ロール圧縮によって、木材に発生する特徴的な不都合(破壊)は、A.わに口破壊、B.縦割れ、C.表面割れ、D.幅反り、E.縦反り、F.加工材内部の層はく離などであり、これらが加工材の強度低下に寄与していた。それぞれについて、圧縮率、ロール径、ロール送り速度などの変形条件、および、試験片寸法、被加工材含水率などの材料条件と加工材の強度的性質の関係を調べ、ロールプレスによる強度低下の抑制について検討したところ、一例として、以下の結果が得られた。 (1)圧縮率:加工材の曲げ試験時の破壊形態は、最外層での引張破壊がほとんどであったが、60%以上の圧縮において、年輪界でのせん断破壊が確認された。ロールプレス加工では、微小なせん断変形の連続によって圧縮されるため、圧縮率が高くなるに従い、加工材の破壊形態に影響を及ぼすのであろう。 (2)ロール径、送り速度:圧縮率が等しい場合、ロール径が小さくなるほど加工材の曲げ強度は低下した。ロール径が大きくなると加工抵抗が増加するが、強度低下の抑制においては有効である。実験の範囲では、ロール送り速度の影響は確認されなかった。 (3)木材の含水状態:高含水状態の木材では、構成成分が軟化しており、変形に伴う繊維相互間のすべりが容易となるため、加工材の曲げ性能の低下が抑制された。しかし、細胞間層の過度の軟化により細胞壁間の結合力が低下するため、幅方向への材の伸長によって生じる縦割れが乾燥材より顕著となった。 (4)木材の厚さ:材料厚さが増すほど、低圧縮域での強度低下の度合いが大きくなる。また、わに口破壊、縦割れなどのロール変形時の巨視的な破壊も厚さが増すにつれて顕著になった 材料厚さ(T)、圧縮率(T-H)/T、ロール径(φ)は、圧入角θ(cosθ=1-(T-H)/φ)で表され、ロール接触時の加工材表面のひずみ(ε=πθ/180sinθ-1)は、θで表された。圧入角は、わに口破壊や表面割れの発生と密接な関係にあり、スギ材の場合、気乾材では圧入角θ=8°、飽水材では9.5°以上になると、曲げ性能が著しく低下した。
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