Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広田 純一 岩手大学, 農学部, 助教授 (00173287)
高橋 強 京都大学, 大学院・農学研究科, 教授 (80021707)
地井 昭夫 広島大学, 学校教育学部, 教授 (10098684)
藤本 信義 宇都宮大学, 工学部, 教授 (00016510)
小林 久 茨城大学, 農学部, 助教授 (80292481)
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Research Abstract |
本研究では,農村地域の資源と環境が,地域活性化の方向や可能性(ポテンシャル)を規定できるものと仮定し,両者を計画に先立ってどのように把握し評価すべきかについて,自然システム,人文・社会システム,景観システム,資源利用・物質収支,インフラにわけてそれぞれ専門の立場から考究するものである。 初年度である本年度においては,異分野の研究者間の理解を深めるために相互に討議を重ね,3年間にわたる研究の全体構成と分担を明らかにしたうえで,それぞれ以下のような研究を行った。 生産・生活インフラについては,農村地域が農業生産活動の低迷,老齢化・過疎化など厳しい状況におかれていることを明らかにし,米の生産調整実施状況と当該地域の農業特性との関連性について,農地利用と活性化の観点から検証した。また,農村地域における資源循環の評価については,異なる作物の空間的・季節的分布をリモートセンシングによる把握のもと,物質フロー分析の可能性を見いだした。文化・社会システムのポテンシャル評価については,農村,山村,漁村それぞれの1地区づつモデルを選択して調査し,地域組織(旧村)と家族が文化的・社会的システムのポテンシャルの基盤となっているという仮設を得ている。法律学の専門の立場からは,地域資源の一つとして温泉をとりあげ,温泉の農村地域の活性化のための資源としてポテンシャル評価とその顕在化の課題を法律的に明らかにした。農村空間の景観のポテンシャルを評価する研究については,都市景観との違いに着目してその価値の変遷過程を明らかにし,これからの田園景観が求められるのは環境(空間)価値であるとして,その課題を析出した。さらに総括的研究として,こうした顕在化した価値相互の関係について,地域への来訪者の価値観の分析をもとに考察している。 これら研究の全体を概観すると,主として先進的地域の調査を踏まえて,当該地域の活性化への自然・資源・文化の寄与のレベルを評価し,これからを帰納的にポテンシャル評価のありかたを考察する研究が試みられた。以上,研究の初年度として,今後の研究のための十分な基礎を築くことができたと考えられる。
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