2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11556060
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
平井 克哉 岐阜大学, 農学部, 教授 (30021702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 悠紀臣 (株)微生物化学研究所, 所長
小田 紘 鹿児島大学, 医学部, 教授 (40107868)
福士 秀人 岐阜大学, 農学部, 助教授 (10156763)
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Keywords | Q熱 / Q熱の診断 / Q熱ワクチン / 遺伝子診断 |
Research Abstract |
研究目的は、遺伝子組換え技法により、菌体感染防御抗原や合成ペプチドなど副作用のない画期的なワクチンを開発すること、また診断用抗原の作出やDNAプローブによる新しい遺伝子検出法など早期確定診断法を開発し実用化すること、さらに分子設計による弱毒化ワクチンの開発をすることである。 1.抗原性を担う蛋白質支配遺伝子をクローン化した結果,dihydro-lipoamide succinyl-transferase(ODH)をコードするsucB遺伝子で、405個のアミノ酸をコードする1,212bpのopen reading frame(ORF)からなる。このODH組換え酵素は抗原性を持ち、診断用抗原に応用できることが示唆された。 2.isocitrate dehydrogenase(IDH)をコードするicd遺伝子をクローニングし、塩基配列決定と組換えおよびC.burnetii精製菌体IDHの生化学的性状を解析した結果、427個のアミノ酸からなる46.6kDaの蛋白質をコードするORFが同定された。IDHはNADP依存性で他の細菌のIDHと異なり至適pHは低く6.5から7.7であった。また、icd遺伝子およびIDHの特殊性は本菌の増殖環境と関連すると考えられた。 3.icd遺伝子の多様性を調べるために、Q熱患者、ダニおよび動物由来19株を用い解析した結果、19株は3群に分けられた。1群はQpHIプラスミドを保有する急性Q熱、ダニおよびウシ由来株が、2群はQpRSおよびQpDVプラスミドを保有するヤギおよび慢性Q熱患者由来株が、3群はプラスミドを保有しない慢性Q熱患者由来株が属した。また、急性と慢性Q熱由来株を識別できるマーカーが存在することが判った。 4.icd遺伝子のマーカーに基づぎ、分離株を迅速に識別する新しいPCR-Restriction Fragment LengthPolymorphism(PCR-RFLP)法を開発した。急性Q熱患者由来株を含む1群の分離株はアガロースゲルで2つのバンドを示したが、慢性Q熱患者由来株は1つのバンドだけを示した。本方法を用い、Q熱患者血清からC.burnetii遺伝子を検出および識別できることが示され、また病態識別の診断に応用可能である。 5.C.burnetiiの抗原性を持つ62、56、53、45、34、31、28、24および17kDa蛋白質を発現する新しい遺伝子を見出し、基盤に分子設計によるワクチン開発を目指している。
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Research Products
(15 results)
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[Publications] 山添文: "髄膜炎を伴うQ熱の1例"日本小児科学会雑誌. 103. 341-342 (1999)
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[Publications] Sawaishi,Y.: "Acute gerebellitis caused by Coxiella burnetii."Ann.Neurol.. 45. 124-127 (1999)
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[Publications] Kawahara,K.: "Comparison of Ehrlichia muris strain isolated from wild mice and ticks, and serologic evidence of humans and animals with E.muris as antigen"J.Clin.Microbiol.. 37. 1123-129 (1999)
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[Publications] To H.: "Sequence comparison of the variable VP2 region of infectious bursal disease virus isolates from Vietnam."J.Vet.Med.Sci.. 61. 429-432 (1999)
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[Publications] Nguyen,Sa V.: "Molecular cloning of an immunogenic and acid-unduced isocitrate dehydrogenase gene from Coxiella burnetii."FEMS Microbiol.Lett.. 175. 101-106 (1999)
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[Publications] Nguyen,Sa V.: "Characterization of the Coxiella burnetii suc B gene encoding an immunogenic dihydrolopoamide succinyltransferase."Microbiol.Immunol.. 43. 743-749 (1999)
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[Publications] Nguyen,Sa V.: "Differentiation of Coxiella burnetii isolates by sequence determination and PCR-restriction fragment length polumorphism analysis of isocitrate dehydrogenese gene."FEMS Microbiol.Lett.. 180. 243-254 (1999)
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[Publications] 高橋洋,渡辺彰,平井克哉: "Q熱、目で見る感染症"化学療法の領域. 15. 5-8 (1999)
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[Publications] 平井克哉: "Q熱に関する最近の知見"日本獣医師会雑誌. 52. 77-83 (1999)
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[Publications] 平井克哉: "ペットを介する病気"獣医畜産新報. 52. 915-919 (1999)
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[Publications] 小川基彦: "発疹チフスの起因菌Rickettsia prowazekiiの全塩基配列決定-病原体および共生体としての意義-"蛋白質・核酸・酵素. 45. 1371-1376 (2000)
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[Publications] 平井克哉: "リケッチアによる感染症獣医感染症カラーアトラス、見上彪,丸山務 監修"文永堂東京. 397-409 (1999)
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[Publications] 平井克哉: "リケッチアおよびクラミジア性ズーノーシス獣医公衆衛生学(第2版)小川益男,金城俊夫,丸山務 編"95-99 (1999)
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[Publications] 平井克哉: "リケッチア最新獣医診療ハンドブック長谷川篤彦 編"(株)インターズー. 449-453 (1999)
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[Publications] 平井克哉: "Q熱、知っておきたい現代感染症事情中山宏明,多田功,南嶋洋一 編"医歯薬出版株式会社. 112-125 (1999)