2001 Fiscal Year Annual Research Report
三次元生体神経伝達機能標準脳図譜の作成と合理的向精神薬治療法開発への応用
Project/Area Number |
11557070
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大久保 善朗 東京医科歯科大学, 大学院・保健衛生学研究科, 教授 (20213663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松島 英介 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (50242186)
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Keywords | 向精神薬 / 精神分裂病 / PET / MRI / ドーパミン |
Research Abstract |
抗精神病薬の作用部位として重要と考えられてる大脳皮質ドーパミンD2受容体は高親和性リガンド[^<11>C]FLB457を用いることにより検討可能となった。われわれは非定型抗精神病薬の一つであるリスペリドンが線条体同様に大脳皮質においてもD2受容体を用量依存的に占有することを報告した。一方、クエチアピンが服薬早期に高いD2受容体占有率を示すものの、その後急激に占有率が減少することが報告されており、一過性のD2受容体と非定型性との関連が議論されている。今年度は[^<11>C]FLB457を用いて、リスペリドン服用中の精神分裂病患者を対象として線条体外ドーパミンD2受容体占有率の経時的変化を調べた。リスペリドンでは血中濃度の減少に比し、大脳皮質ドーパミンD2受容体占有率の減少の程度は少なく、血中濃度が低下しても脳内では高い受容体占有率が維持されていた。リスペリドンのD2受容体占有率の経時的変化の結果から、リスペリドンではクエチアピンのような一過性の占有は認められず、1日1回投与でも十分な受容体占有が維持されると考えられた。近年、医療の実践の際に、あやふやな経験や直感に頼らず、科学的evidence(証拠)に基づいて最適な医療を行う、Evidence Based Medicine(EBM)の重要性が指摘されている。精神科の薬物療法に関しても、このような考え方から、科学的な証拠に基づく指針の作成が望まれている。今回の研究から、PETを用いて受容体占有を測定することによって、より適切な用量、用法の提唱を含む、合理的薬物療法の開発が可能になると思われた
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Suhara, T., Okubo Y., Yasuno F. et al.: "Decreased dopamine D2 receptor binding in the anterior cingulate cortex in schizophrenia."Arch Gen Psychiatry. 59. 25-30 (2002)
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[Publications] Ichimiya, T., Okubo Y., Suhara T., Sudo Y.: "Reduced Volume of the Cerebellar Vermis in Neuroleptic-Naive Schizophrenia."Biological Psychiatry. 49. 20-27 (2001)
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[Publications] Sajo T., Abe T., Someya Y., Sassa T., Okubo Y. et al.: "Ten year progressive ventricular enlargement in schizophrenia : An MRI morphometrical study."Psychiatry and Clinical Neuroscience. 55. 41-47 (2001)
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[Publications] Okubo Y., Saijo T., Oda K.: "A review of MRI studies of progressive brain changes in schizophreni"Journal of Medical and Dental Sciences. 48. 61-67 (2001)
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[Publications] Suhara T., Yasuno F., Sudo Y., Yamamoto M., Okubo Y. et al.: "Dopamine D2 receptor in the insular cortex and the personality trait of novelty seeking"Neuroimage. 13. 891-895 (2001)
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[Publications] 大久保善朗, 須原哲也: "受容体占有と抗精神病作用-PET/SPECTを用いた抗精神病薬の薬効評価-"精神神経学雑誌. 103. 329-340 (2001)