1999 Fiscal Year Annual Research Report
大気中水素ガスの同位体組成分析法の開発と環境トリチウム発生源の解明
Project/Area Number |
11558057
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
百島 則幸 熊本大学, 理学部, 教授 (80128107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 巧 日本原子力研究所, 核融合工学部, 副主任研究員
山西 敏彦 日本原子力研究所, 核融合工学部, 副主任研究員
岡井 富雄 九州大学, 大学院・工学研究科, 講師 (50150488)
古本 五郎 旭化成工業株式会社, 研究開発本部, 副参事
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Keywords | 水素 / 同位体分析 / 低温分離 / クライオポンプ / トリチウム / 核融合 / 大気 |
Research Abstract |
本研究は、大気中水素に含まれるトリチウムの化学形を明らかにして、その発生源を特定することを目的としている。大気中の可能なトリチウムの化学形はHT、DT、T_2である。大気中の水素濃度は0.55ppmと低いので、化学組成を分析するためには大気から水素を予備濃縮することが必要である。核融合炉施設周辺の環境トリチウムモニタリングでは、その化学形の測定が発生源を特定するキーポイントになると考えられる。既存の原子力施設と核融合施設からの寄与を区別して評価する手法の確立は、核融合施設の健全な運転と安全性の確認のために必要なことである。 本研究の全体は、以下の3つのステップに分割することができる。(1)大気中水素の予備濃縮、(2)分子状トリチウム同位体の分離、(3)各同位体の濃度定量。 今年度は大気中に極微量存在している水素の分離濃縮装置の設計と製作を行った。 装置は深冷分離法を基本としたもので2段のクライオポンプと気体調整室からなっている。まず、空気中の主成分である窒素・酸素から水素・ネオン・ヘリウムの低沸点成分を予備分離する。空気調整室から導入された空気中の主成分は1段目のクライオポンプに保持される。低沸点成分は2段目の活性炭を備えたクライオポンプに捕らえられる。ある程度空気を処理したら、1段目のクライオポンプの温度を上げ主成分を排出する。この操作を繰り返し低沸点成分を集めていく。次に、2段目のクライオポンプの温度を上げ低沸点成分を空気調整室に戻す。1段目のクライオポンプをアルゴンを捕らえる温度に設定しアルゴンを保持させる。2段目のクライオポンプに水素とヘリウムが保存される。水素分離濃縮過程では同位体交換反応が起こらないことが要求される。一般に同位体交換反応は、高い温度で触媒(活性な金属表面)が存在すると速やかに進行する。本装置は水素分離濃縮を低温下で行うが同位体交換の有無の検討が必要である。
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