2000 Fiscal Year Annual Research Report
物語としての思想-東西の思想を物語の観点から読み直す-
Project/Area Number |
11610042
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
小川 眞里子 三重大学, 人文学部, 教授 (00185513)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片倉 望 三重大学, 人文学部, 教授 (70194769)
山岡 悦郎 三重大学, 人文学部, 教授 (90115741)
伊東 祐之 三重大学, 人文学部, 教授 (50011359)
秋元 ひろと 三重大学, 教育学部, 助教授 (80242923)
遠山 敦 三重大学, 人文学部, 助教授 (70212066)
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Keywords | 物語 / 東西の思想 |
Research Abstract |
本年度については西洋と東洋の哲学思想の研究者を招いて、それぞれのご専門における物語思想を展開していただき、大変有意義であった。最初は東北大学の野家啓一氏に8月4日に「物語としての思想」と題してご講演いただいた。『物語の哲学』の著者としてこの分野のいわば先駆者である講演者には「物語り行為論の背景」「物語り論の基本構図」「歴史の物語り論」「科学の物語り論」の4点を柱にかなり本研究テーマにそった話題提供をしていただくことができた。東洋、西洋いずれの研究者にもそれぞれ接点を見いだすことができ、科学の物語り論は特に新鮮であった。2回目の講演会は東方研究会所属の田辺和子先生を新年1月12日にお招きし「原始仏教聖典の中の物語」と題してご講演いただいた。仏教聖典全般に関わるお話もさることながら、お話の中心は過去世物語の具体的な個々の解説、共通に見られる顕著な特徴などにあった。過去世物語は重要な教理、教説を説くに当たって比喩として語られることが多く、難しい思想を万人にわかりやすく解説し伝達・伝播をはかるのに物語が重要な役目を担ったことがよくわかった。パーリ聖典の物語でありながら、イソップ物語や日本昔話によく似たストーリーもあって東西の思想研究者にとって大変興味深いものであった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 小川眞里子: "Uneasy Bedfellows"Bulletin of the History of Medicine. Vol.74 No.4. 671-707 (2000)
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[Publications] 小川眞里子: "進化論とWoman Question"三重大学人文学部文化学科研究紀要『人文論業』. 18(印刷中). (2001)
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[Publications] 桑原直己: "トマス・アクィナスにおける親和的認識について"筑波大学哲学・思想学系『哲学・思想論集』. 第25号. 152-166 (2000)
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[Publications] 藏田伸雄: "電子化された医療情報のプライバシー保護に関する諸問題"情報倫理学研究資料集. 50-58 (2000)
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[Publications] 藏田伸雄: "体細胞核移植クローン技術の人への使用と「生殖の自由」"生命倫理. 11号. 35-41 (2000)
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[Publications] 小川眞里子: "メンデル遺伝学の受容-ドイツの場合-"生物学史研究. 66. 85-88 (2000)
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[Publications] 斉藤明: "アビダルマ仏教とインド思想(共著)"春秋社. 267-279 (2000)