1999 Fiscal Year Annual Research Report
哲学的思索の中から美学的関心が胚胎・生成することに関する日欧比較思想的研究
Project/Area Number |
11610056
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Research Institution | Kobe College |
Principal Investigator |
浜下 昌宏 神戸女学院大学, 文学部, 教授 (60208577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米山 優 名古屋大学, 大学院・人間情報学研究科, 教授 (90158543)
高橋 雅人 神戸女学院大学, 文学部, 専任講師 (90309427)
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Keywords | 哲学的思索 / 美学 / 美学の生成 / 西田幾多郎 / アラン / 西周 / ヒューム / プラトン |
Research Abstract |
1)共同研究としての成果:研究計画の確認にしたがって、3名の共同研究者が一堂に会し、さらに客員として瀧一郎を迎えて研究発表と全体討論を行うことができたのは2月11日-13日の合宿においてであった。米山優著『モナドロジーの美学』の内容に即してライプニッツ、西田幾多郎、アランのそれぞれの章のコメンテイターを決めて質疑応答を行い、米山による解説と解釈をうけて討論した。米山の上記著は、本研究の射程と展望を得る上できわめて示唆の多いものである。また合宿時には、瀧(「ベルクソンのエクリチュール」)と高橋(「プラトン『パイドロス』によるスタイル」)との研究報告もなされた。2)論著として発表された成果:上記米山の著書、高橋による口頭発表をはじめとして、浜下の研究成果は、西周の美学についての論文が共著『日本の芸術論』(神林恒道編、ミネルヴァ書房、近刊予定)において、またヒュームのコンヴェンション概念についての論文も発表される(『habitus研究論文集』に収録予定)。3)以上の成果をふまえて、科学研究費補助金による本研究課題における問題点・論点の所在をあらためて確認することができた。すなわち、美学生成の契機は個々の哲学者により多種多様であるが、和洋の哲学史に主要な傾向を整理すると、<a>実存的生の理念である超越的・実在論的な美のイデア追究として、また<b>感性の可能性とその論理追究の感性学として、さらには、<c>観念の様相を規定する試みとして、美学が構想されている。以上のような研究1年目の成果を踏まえて、さらに詳細に課題に取り組み、その成果を発表することが2年目に継続される。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 米山優: "視点に立つということ"哲学雑誌. 114巻786号. 37-53 (1999)
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[Publications] 浜下昌宏: "遊びの美意識"神戸女学院大学論集. 46巻1号. 119-131 (1999)
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[Publications] 高橋雅人: "哲学者たちの洞窟への帰還に関する一つの覚書き"神戸女学院大学論集. 46巻2号. 27-38 (1999)
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[Publications] 米山優: "モナドロジーの美学"名古屋大学出版会. 351 (1999)
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[Publications] 浜下昌宏他: "芸術理論の現在"東信堂. 356 (1999)
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[Publications] 浜下昌宏他: "近代イギリス倫理学と宗教"晃洋書房. 319 (1999)