1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610120
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山田 純 広島大学, 総合科学部, 教授 (00116691)
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Keywords | 漢字 / 意味情報 / 緩徐進行性失語症 / 難読症 |
Research Abstract |
健常成人のメンタルレキシコンにおける漢字音韻処理を明らかにするために、学生を被験者として、ディスプレー上に平仮名表記語と漢字表記語を並列して同時に呈示し、発音が同じかどうか、音韻判定をできる早く行うように求めた。その結果、「ほこ-楯」のように両者が意味的に類似している条件で、誤反応が多く、反応速度が遅れた。これは、意味の介在を示唆しており、よって漢字表記語の意味情報処理の先行を論じた。本課題は、従来の意味判定課題とは相補的関係にあり、英語等のアルファベットを使用する言語においても実施するに値する。 緩徐進行性失語症患者を対象として、幼児児童期の学習順序と逆の順序で語の喪失が進行するという回帰仮説を吟味した。絵カードによる呼称課題の結果を過去3年間、さかのぼって分析した。一方、健常児の音韻学習および語彙学習に関する研究成果を整理し、失語症患者との比較を行った。その比較から、部分的に回帰仮説を支持する結果が得られ、回帰仮説にかかわる基本的な問題を考察した。 日本語児を対象とした難読児の研究は限られているが、先行研究を概観し、海外の研究との比較を行い、日本における研究上の問題点を検討し、今後の研究を展望した。 平成11年度は、上記の研究に加えて、学生の英語メンタルレキシコンの概要を明らかにするために、基本語4,000語の語彙テストを実施した。データは、膨大な量になっているが,現在そのデータの分析を実施している。この成果については、平成12年度に発表予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yamada.,J.,Kayamoto,Y.,& Morita,A.: "Japanese Kanji as a semantically based orthography"Psychological Reports. 84. 637-642 (1999)
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[Publications] Ukita.,H.,Abe,K.,& Yamada,J.: "Late acquired words in childhood are lost earlier in primary progressive aphasia"Brain and Language. 70. 205-219 (1999)
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[Publications] Yamada.,J.: "The myth of absence of dyslexia in Japan"Perspectives. 26. 22-23 (2000)