1999 Fiscal Year Annual Research Report
「甘えの心理」測定尺度開発および甘え行動・交流状況の認知過程の分析
Project/Area Number |
11610126
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加藤 和生 九州大学, 大学院・人間環境学研究科, 助教授 (00281759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸野 俊一 九州大学, 大学院・人間環境学研究科, 教授 (30101009)
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Keywords | 甘え行動の心理 / 愛着 / 健常成人 / 人格 / 社会・認知心理学的視座 / 甘えタイプ・甘えさせタイプ / 認知プロセス / 甘えの内的作業モデル / 尺度構成 |
Research Abstract |
11年度の主な目的は,次の2点の検討を試みる.(1)「甘え」・「甘えさせ」のタイプを理論的に類型化し,甘え・甘えさせ行動タイプの尺度を構成し,その特徴を解明する.(2)甘え交流に関わる認知・体験過程の分析を行うことである. 1. 甘えのタイプ・甘えさせタイプの分析 理論的甘え行動・甘えさせ行動のタイプを理論化し,それを面接法より理論化の可能性を検討した.つぎに,そこでえられた反応にもとづき,タイプを測定するための尺度の構成を試みた.理論的に構成したタイプ分けの妥当性を検証し,それが確認された.また,類似概念である愛着スタイルとの関連も現在分析中である. 2. 甘え交流に関わる認知・体験過程の分析 主な目的は,もろもろの甘え交流の基底にある一般的モニタリングの側面を取り出すこと,またそれが上で構成した甘え・甘えさせタイプによりどのように異なるかを検討することであった.たとえば,良い甘えを行うためには,その過程において自己・他者・自他の関係・刻々と変化する状況や関係などの諸側面をモニターしながら,甘えすぎたり・甘えなさすぎたりしないように自己の行動を調整することが不可欠である.またそれにより甘え交流の結果の成功・失敗あるいは良い(満足)体験になるかどうかを規定するだろう.Kato(1995)の甘え交流過程モデルで仮定されている甘え交流の前・中・後の段階で行われているモニタ一の諸側面(すなわち,自己・他者・自他の関係・刻々と変化する状況や関係)や交流の結果体験される感情などを面接を通して概念的に分析した.さらに,それに基づき,尺度構成を試みた.測定領域は,モニタリング,情動体験,認知,一般的態度などであった.現在データの分析を行っている.
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