2000 Fiscal Year Annual Research Report
『世界青年の船』事業における異文化接触経験への援助に関する実験臨床心理学的研究
Project/Area Number |
11610142
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Research Institution | MEIJI GAKUIN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
井上 孝代 明治学院大学, 文学部・心理学科, 教授 (30242225)
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Keywords | 世界青年の船 / 異文化接触 / 事例研究 / PAC分析 / グループワーク / 追跡調査 |
Research Abstract |
本研究は、総務庁主催『世界青年の船』の日本人参加青年(20〜30歳)を対象にして、その参加体験の意義を心理学的に調査し、さらに、世界船に乗船中における異文化接触に伴う心理的問題への援助のあり方について実験臨床心理学的に研究することを目的にするものである。 2年目にあたる平成12年度は、下船後1年半経過した時点で、参加青年への郵送による質問紙調査をおこない、乗船の意味と下船後の相互交流の実態などについて追跡調査をおこない、国際交流・異文化交流事業としての成果を明らかにした。また、この結果の整理と、乗船中に参与観察から得られたグループワークの結果や相談事例などをもとに研究成果報告書の作成をおこなった。報告書の内容は、第1章で、追跡調査による「世界青年の船」の国際交流事業としての意義を述べ、第2章でに、1事例のPAC分析による乗船直後と下船直前の「異文化体験のイメージ」の比較をおこない、対人関係と自己への気づきの変化から、乗船経験の積極的意義を明らかにした。第3章では、下船直前のグループワークとしてKJ法を用いた体験ワークショップの結果をもとに、乗船によって得られた異文化接触の意義を体験的に抽出させ、整理をおこなった内容にについて記述した。第4章では、郵送による質問紙調査により得られた乗船前、乗船中、乗船後の諸要因の関連について分析の結果について述べた。第5章では、参加青年4人の事例を記述し、乗船前と乗船中の適応問題について考察し、異文化接触との関連について検討した。また、補章として、異文化接触下において求められる多面的なカウンセラーの役割に関する関連論文(井上,2001)を追加した。 全体的に、『世界青年の船』の積極的な意義が明らかにされ、文化接触経験下における援助の方法や内容についても有益な示唆が得られた。
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