2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610173
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
溝部 明男 金沢大学, 文学部, 教授 (90127142)
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Keywords | 高齢者介護 / パーソナル・ネットワーク / 在宅介護 / 施設介護 |
Research Abstract |
高齢期に体が不自由になったとき、どのような場所で介護されることを望むか、「在宅介護」か「施設介護」か。この問題について、溝部(2000)は、単純化すれば、家の伝統意識の強い人は「自分の家」を希望し、伝統意識が弱い場合には、階層の高い人は「民間ケア付マンション」を希望し、階層の低い人は「公的老人ホーム」を希望する、という結論を得ている。 この結論を再検証すること、および分析をさらに発展させることを、本研究の主要課題とした。使用したデータは、2000年10月に金沢市で行った面接戸別訪問調査によって得られたものを使用した。無作為抽出によって選び出された、20〜65歳未満の男女263人から有効回答をえた。回収率は、60.9%であった。 仮説1:伝統意識の強弱が、介護場所の選択に影響する。 仮説2:階層の高低は、「自宅」希望には影響しないが、「民間ケア付マンション」と「公的老人ホーム」希望の選択に影響する。 分析結果によれば、仮説1は、ほぼ支持された。階層変数として「学歴」と「世帯収入」を用いた場合に、仮説2は弱い支持をうけた。 さらに続けて、以下の仮説の検証を試みた。 仮説3:自分が介護されるとき、配偶者がそばにいると予想する人は、「在宅介護」を希望し、そう予想しない人は、「施設介護」を希望する。 仮説4:女性は配偶者を先に見送るであろうから、女性は「施設介護」を希望するだろう。 仮説5:子供が自分を世話してくれると期待できる人は、「在宅介護」を希望し、そうでない人は「施設介護」を希望するだろう。 分析によれば、仮説3は強く支持された。意外なことに、仮説4は不支持であった。(女性は、配偶者よりも子供に期待しているのであろうか。)仮説5は、ほぼ支持された。
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