1999 Fiscal Year Annual Research Report
農業生産組織化およびその法人化の要因に関する社会学的研究
Project/Area Number |
11610201
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Research Institution | Tokiwa University |
Principal Investigator |
柄澤 行雄 常磐大学, 人間科学部, 教授 (70161255)
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Keywords | 農業生産組織 / 法人化 / 集落 / 個別農家 |
Research Abstract |
本研究は、日本の日本農業の多様な担い手の一つである農業生産組織を研究対象として取りあげ、生産組織をめぐる担い手形成の政策課題であるその法人化の条件を探ることを目的としている。 研究初年度の平成11年度においては、(1)研究の方法や枠組みについて既存文献の検討、(2)調査対象地の選定((1)水田単作地帯・・・・・・新潟県中魚沼群川西町、(2)水田・畑作複合経営地帯・・・・・・同津南町、(3)水田・畑作・畜産複合経営地帯・・・・・・宮崎県高城町)および(3)現地調査の実施による資料収集などを中心に研究を進めてきた。 その結果、これまでの調査から得られた暫定的知見は以下のように整理できる。 (1)既存の生産組織に限らず個別農家においても、それらの法人化は優れた経営感覚と利潤獲得動機をもった経営者がいてはじめて可能となる。 (2)集落ぐるみ的生産組織は、関係農家から利潤獲得動機についての十分な理解が得られた場合のみ法人への移行が可能となるが、現実にその理解を得ることは困難である。一般に、生産組織加入農家は、自家の農業経営の経営環境と将来展望が甘いことが、その理解の妨げになっている。 (3)同士的結合によって法人化した生産組織は、構成員の人間関係の安定的な維持に配慮しながら、法人の運営に努めている。 (4)生産組織が法人化した場合、集落との既存の関係を協調的に維持していくことが、法人が安定して存続していくための条件となっている。
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