2000 Fiscal Year Annual Research Report
農業生産組織化および法大化の規定要因に関する社会学的研究
Project/Area Number |
11610201
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Research Institution | Tokiwa University |
Principal Investigator |
柄澤 行雄 常磐大学, 人間科学部, 教授 (70161255)
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Keywords | 農業生産組織 / 法人化 / 農業経営 / ビジネス感覚 / 自治体農政 |
Research Abstract |
農業生産の担い手の高齢化と後継者の確保難が続くなかで、農外からの新規参入も含めて、生産の多様な担い手の形成が求められている。その担い手の一つとして、すでに1993年の「新農政」では「組織的経営体」の育成とその法人化の推進が打ち出され、さらに昨年制定された「食料・農業・農村基本法」でも、経営の法人化および生産組織の活動推進が盛り込まれた。しかし、こうした政策目標の提示にもかかわらず、生産組織の展開とその法人化は期待通りには進行していない。そこには、農家の組織化や法人化を阻害する条件が、農家・農業者の主体的側面とそれをとりまく農村地域社会の客観的側面の双方において、数多く存在するものと考えられる。そこで、本研究では、こうした農業生産組織化とその法人化を規定する社会学的要因を実証的に解明することを目的とした。 2年間の研究期間において、新潟県中魚沼郡川西町、同津南町、福島県福島市、同県耶麻郡猪苗代町、宮崎県高城町などにおいて、役場農政担当者、農協、農業改良普及センター、個別農家農業経営者、農業法人経営者、生産組織関係者などに対する聞き取りを主体とする調査を行った。 その結果、これまでえた主な知見は以下の通りである。 組織化、法人化を促進する要因としては、(1)地元農政当局(農協を含む)の自治体農政の組織化・法人化に対する強力なリーダーシップと指導、(2)農業経営者の積極的な将来営農志向、(3)経営者の農業をビジネスチャンスととらえる感覚、(4)これら(2)および(3)を兼ね備えた複数の農業者の存在と仲間意識、(5)周辺農家の組織化・法人化および土地流動化に対する理解と協力、などがあげられる。
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