2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610228
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF HIROSAKI GAKUIN |
Principal Investigator |
山田 等 弘前学院大学, 社会福祉学部, 教授 (70258763)
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Keywords | 老人 / 余暇 / 旅行 / ゲートボール / 散歩 / 温泉 |
Research Abstract |
今年度は、老年期の余暇活動のうち、旅行とりわけ湯治について、参与観察および聞き取りをおこなった。以下、その知見の一部を略述する。 湯治とは、療養者や農家の人が農閑期などに1ヵ月程度、自炊しながら温泉で療養するものである。そこでは、湯治客同士のコミュニケーションが濃密になり一種の共同体ができたりする。以上が従来のイメージであるが、これは変容しつつある。まず、自炊をしながらの湯治は、東北の各地区に残っているものの、経営する側が火の始末・部屋の汚れ、そして高料金を取りえないことなどから、自炊湯治を止めつつある。まだ湯治客も自炊自体を面倒だとして自炊をしなかったり、老年の友人が死んで来なくなったり、湯治場が客が少なく寂しかったりで、湯治を諦めつつある。結果、行き場がなくなり、湯治客が大量収容の宿に集中したりしている。他方、自炊でなく安い料金(1泊7000円程度)で1週間から2週間程度湯治をする客が増えてきた。それに対応する宿も増えつつある。なかには、そうした湯治客に病院でのリハビリテーションのための送迎を売り物にしてセールスしている宿もある。また、老年期の夫婦を対象にして、スーパーでの惣菜での食事を想定しつつ、2人で1泊7000円の湯治宿も出てきた。そこの各部屋ではしっかりと鍵が掛けられプライバシーが保たれている。逆に他の客とのコミュニケーションはほとんどない。風呂も各家族が貸し切り風呂にして使用している。これからの老人向けの湯治のあり方の一つとして注目される。
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