1999 Fiscal Year Annual Research Report
適応指導教室における体験的活動が不登校児童生徒の回復過程に果たす役割に関する研究
Project/Area Number |
11610305
|
Research Institution | Youth Education National Olympics Memorial Youth Center |
Principal Investigator |
谷井 淳一 国立オリンピック記念青少年総合センター, 調査連絡課, 主任研究官 (70312204)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沢崎 達夫 大正大学, 人間学部, 教授 (90143180)
|
Keywords | 不登校 / キャンプ / 自然体験 / 効果測定 |
Research Abstract |
不登校児童生徒を対象とした自然体験事業(キャンプ)参加前後の行動等の変容について参加者の保護者に対する調査を行った。対象とした体験事業は117事業であるが,教育委員会,適応指導教室,青少年教育施設が連携しあって実施しているものが多かった。 事業にはじめて参加するまでの経過期間をみると,保護者が子どもの不登校の兆候を感じてから,平均2年1か月,保護者がはっきり不登校であるとの認識をもってから,平均1年4か月が経過している。兆候を感じてから半年以内の初期の参加者も27人(12.2%)いるが,概ね,不登校の兆候があってから2年程度経過した回復期に体験事業に参加する機会を得ている。 効果測定には4件法の尺度12項目を用いて,事前調査から事後1か月調査の間の子どもの変容を検討した。最も向上の見られた項目は,項目「ひとの目を気にしすぎている」で,有効回答者334人中,視線からの解放が33.7%の参加者に見られた。自分が意識する程,他人は自分のことを見たり考えたりしていないのだが,自己に対する客観視は不登校児の多くにとってはむつかしい課題である。野外における集団活動という,直接自分と向き合う必要のない自然な時間の流れの中に身を置き,多くの児童生徒は自己を相対視することが可能になったと考えられる。次いで,多くの参加者に見られた向上は,多い順に「感情の抑制」からの解放が25.6%,「友だちへの電話」の増加が18.9%,「友だちとの外出」の増加が16.6%,「外出行動」の増加が14.6%であった。 この調査研究で得た知見を踏まえて,適応指導教室における体験的活動の効果を明らかにするための調査票を作成し,2000年度に調査をする予定である。
|