2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610338
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
大石 学 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (10183758)
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Keywords | 江戸幕府 / 公文書 / 享保の改革 / 寛政の改革 / 情報蓄積 / 情報の機密化 / 文書廃棄 |
Research Abstract |
江戸幕府の公文書管理の実態を解明するために、本年度は、(1)幕府関係文書(『徳川実紀』『徳川禁令考』『日本財政経済史料』など)(2)政治家や知識人の著作(荻生徂徠『政談』、室鳩巣『兼山秘策』、松平定信『宇下人言』、水野為長『よしの册子』、松浦静山『甲子夜話』など)の読解を進めた。 この点に関して、昨年度は18世紀前半の享保改革が官僚機構の整備、法制度の整備と並ぶ公文書管理システムの整備の時期であった実態を指摘した。 本年度は、これに続く18世紀後半の寛政改革もまた公文書管理システム整備の重要な画期であることを明らかにした。すなわち、寛政改革の公文書管理政策が(i)各大名家、旗本家に幕府の公文書を持ち帰ることを禁止し、幕府に情報を集中的に蓄積するとともに、これを機密化し、さらに(ii)幕府公文書の廃棄の際にも情報漏洩防止政策が検討されたことを解明した。 幕府の公文書政策は、享保改革から寛政改革にかけて「情報の蓄積から機密化へ」という方向で進められたといえるのである.これらの研究成果は、史学会第98回大会近世史部会報告「享保改革の歴史的位置」(2000年11月12日東京大学)の一部として発表した。
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