2000 Fiscal Year Annual Research Report
^<14>C年代測定を用いた古代鉄生産に関する研究-古代鉄製品製作工程の実体把握の解明にむけて-
Project/Area Number |
11610427
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Research Institution | Gangoji Institute for Research of Cultural Properly |
Principal Investigator |
山田 哲也 (財)元興寺文化財研究所, 保存科学センター, 研究員 (80261212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 寛貴 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 助手 (30293690)
中村 俊夫 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 教授 (10135387)
塚本 敏夫 (財)元興寺文化財研究所, 保存科学センター, 研究員 (30241269)
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Keywords | 製鉄実験 / 炭素 / 加速器質量分析法 / ^<14>C年代測定 / 鉄製品 / 年代値 / 製錬 / 精錬鍛冶 |
Research Abstract |
本研究では、古代の製鉄方法を用いた製鉄実験を通じて、その際使用した木炭と製鉄実験により得られた鉄滓・銑鉄等に内在する炭素を効率よく回収し、加速器質量分析法による^<14>C年代測定を行った。その測定結果は、使用前の木炭とほぼ同一の年代を示し、その相関関係から鉄製品中の炭素の履歴は、製鉄の際に用いられた木炭に由来することを検証した。また、鉄製品の製作工程のひとつである精錬鍛冶においても、その鉄製品の年代値はそのときに用いられた木炭に影響されることを検証してきた。 これらの研究成果により、製錬遺跡や精錬鍛冶遺跡で出土する鉄滓・鉄塊系遺物の炭素履歴は、製作時に用いた木炭に由来しており、それらの^<14>C年代測定の正当性と有効性を確認することができた。 しかし、その中で、同一の鉄製品について^<14>C年代測定を行った時に、数点の試料において年代値に測定誤差を超えたばらつきがみられた。これらの試料のばらつきは、試料そのもののサンプリングの方法やサンプリング位置、更には、試料の錆による炭素汚染の可能性を示しているのではなかろうかと考えられる。 この年代値のばらつきの問題を解決するためには、測定試料のサンプリング方法や試料中の錆による炭素汚染の影響等についての検証が今後の課題として残った。また、そのことを検証するためには、古代の製鉄工程毎に生じる生産物及び副産物中の炭素を更に効率よく高純度で抽出し、精製する方法の開発が不可欠である。
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