1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610464
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
和田 英信 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (20231037)
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Keywords | 詩話 / 六一詩話 / 欧陽脩 / 士大夫 / 宗代文学 / 宗詩 / 『〓渓漁隠叢話』 |
Research Abstract |
本年度、本研究では、まず欧陽脩『詩話』の語りの形式や詩話総集の体例・体裁に着目することにより、詩話の成立の意味、そして詩話の変容の背景を考察した。 1、従前の詩や詩人の逸事を内容とする著作が史伝のスタイルに則るのに対し、『詩話』は、欧陽脩が、いま、まさに聞き手を前にして語り進める、その物語行為を再現する形式をとっている。 2、詩話は、北宋期に成立した士大夫層の緊密なネットワークのなかで、彼らに共有される話題の場、あるいは士人間の情報の交流を担う新しいメディアとしての機能を担った。またこのことと、上記1で指摘したことは関連を有する。 3、士人間の情報の交流を担うメディアとしての機能に対応するかたちで、詩話総集という新しい著述のスタイルが生まれ、とくに胡仔の『〓渓漁隠叢話』(前集は南宋、高宗の紹興十八年、後集は孝宗の乾道三年序)は、北宋期における詩話のあり方を非常によく代表する著作として注目される。 4、蘇軾・黄庭堅らに代表される元祐文学の出現が、詩論家らを、唐代と宗代の詩を対比的にとらえる見方に導いた。このこともまた、『〓渓漁隠叢話』の体裁や内容を考察することにより、読み取られる。 上記の諸点はすでに研究論文としてまとめ、一本は雑誌に発表(別記)、一本は平成12年に刊行予定の図書に掲載することとなっている。 現在は、詩話にみられる批評用語や批評の形式を収集し、データベース化を進めている。
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