2002 Fiscal Year Annual Research Report
聾者と健聴者における、第二言語としての音声言語と手話言語の実践的修得
Project/Area Number |
11610557
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
渡邉 政憲 鳥取大学, 教育地域科学部, 教授 (90032325)
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Keywords | 手話 / 日本手話 / 音声対応手話 / 聾(ろう) / 聾者的実存 / 聴者 / コミュニケーション / ドイツ手話(DGS) |
Research Abstract |
今年度の研究実績は次の4つにまとめることができる。 1 論文:『日本手話と音声対応手話の緊張関係の平衡』を著した。「日本手話」と「音声対応手話」の「相違」が聾者の言語的な実在の「軽重」の支店を成すとする手話学の「一般的な考え」を反証したもの。具体的な手話を例示しながら既成概念の非現実性を主題に論を進めた。研究補助の野崎美智代氏(生来聾)が共著で参加したことは聾者のインクルージョンにとり実践的な寄与となるであろう。 2 国内国外活動:8月と9月はドイツ・ミュンヘン大学の教授で聾教育の世界的権威であるA.レオンハルト博士を招聘して共同活動を行った。聾学校、特殊学級、養護学校などを訪問した成果は女史によってドイツの研究雑誌で紹介された。10月から11月にかけてはヨーロッパの大学や人工内耳センターなどを訪れて、知己の聾・手話研究家と意見を交換した。とりわけ、ハンブルク、ミュンヘン、クラーゲンフルトの3大学、フリートベルクのセンターでの活動は手話の国際的位相をめぐる考察に有意義であった。渡欧には研究補助の聾者二人が同行して交流活動を積極的に展開した。 3 講演活動:鳥取県社会福祉協議会主催の講演『言葉のしくみ』と鳥取大学の人権教育論の一環として講演『聾マイノリティと手話』を行った。大学の地域還元と学生の啓蒙のそれぞれで貢献できた。 4 研究活動:論文の予備段階としての「下書き」は大量に上った。とりわけ、「手話記号の心理的造形性」と「鳥取の手話と日本手話の比較考察」は聾・聴の人々の協力を得て相当量の文書が保存できた。手話動作の画像も野崎氏のオリジナルであり、筆者の論文はその点で百%独自の論考であることを力説しておく。
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Research Products
(1 results)