1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610574
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
水野 知昭 信州大学, 人文学部, 教授 (30108435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下田 立行 信州大学, 人文学部, 助教授 (90240788)
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Keywords | 来訪神 / 贈与 / 客人 / 款待 / 外来王 / 神聖なる来訪者 / 荒猟師 / 異界 |
Research Abstract |
1.北欧の主神オージンを筆頭とする12名の「馬または船に乗る神々」に、来訪神としての特性があることを論じた。 2.ヴァイキングの鴉の軍旗は本来、知恵と予言と勝利の神オージンへの犠牲を求める意味があった。大和入りした神武天皇の軍勢を先導した八咫鳥の伝承にも、「羽振り」(祝り;葬り)の思想、すなわち「敵を犠牲に供して、ケガレを祓い清める」意味がこめられていた。言いかえると襲来する外来王の旗印は、いずれもカラスであった。 3.「旅をする贈与主」としてのロキは状況に応じて「賢と愚」を使い分けている。見知らぬ異人の前で雄弁をふるい、対決の姿勢を露わにする顧問官の「賢」は、豊饒と平和を司る統治者の「英知」と不即不離の関係にある。前者は客人に対して敵対的な態度を示すが、後者は好意的な款待の意を表明し、相互補完をなす。 4.イエアート(南西スウエーデン)の勇者ベーオウルフはデンマークに遠征し、贈り物として魔法の首飾りと胴鎧などを携え帰参した。前者は王妃ヒュイドとの「秘められた愛」をはぐくみ、後者は主君ヒュイエラークの死を招く。すなわち、かの勇者は異国への遠征を成就をしたことにより、故国イエアートにとっての「恐るべき異人」(a terrible stranger)として帰還したのだ。5.冬至は元来、祖霊または超自然的な存在者が人里を訪れる一季であり、北欧の冬至祭(Yule)はいわば「神聖なる来訪者」にまつわる信仰より発している。 6.オージンは荒れ狂う死者の軍勢を一手に統括する神だが、風を鎮め、豊饒をまねく特性も備えていた。まさに馬に乗る来訪神の姿は、「荒猟師の伝承」の中に生き続けてきたのだ。 7.北欧教会建立伝説について、工事依頼人を「海からの異人」、請負人を「山からの異人」と規定して、その成立背景を塁壁造成の神話の中に探った。 下田は、ヘーリオドーロスの『アイテイオピカ』を中心として異界と異国の接触について研究してきた。ギリシア喜劇断片についての研究成果を公表する予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 水野 知昭: "馬に乗る神々と世界樹トネリコ"日本アイスランド学会会報. 18. 28-39 (1999)
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[Publications] 水野 知昭: "ヴァイキングの鴉の軍旗と神武天皇の八咫鳥"人文科学論集<文化コミュニケーション学科編>(信州大学). 33. 299-320 (1999)
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[Publications] 水野 知昭: "ロキの道化-賢と愚の弁証法-"東西の老賢者(比較神話学国際シンポジウム:名古屋大学). 9月. 132-140 (1999)
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[Publications] 水野 知昭: "The Magical Necklace and the Fatal Corslet in Beowulf"English Studies (The Netherlands:Swets &Zeitlinger). 80巻(5号). 377-397 (1999)
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[Publications] 水野 知昭: "Old Tule Festivities in Scandinavia"Anristu News (Tokyo: Anristu Corporation). 19(No.95). 10-13 (1999)
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[Publications] 水野 知昭: "Othin who Presides Over the Raging Army"Iris (Univ. Grenoble 3). 18. 19-36 (1999)
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[Publications] 水野 知昭: "北欧教会建立伝説の成立背景"人文科学論集<文化コミュニケーション学科編>(信州大学). 34. 89-114 (2000)