1999 Fiscal Year Annual Research Report
現代ドイツの文化交流政策とナショナル・アイデンティティ
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11620075
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平野 陶子 (川村 陶子) 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (80302834)
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Keywords | ドイツ / ヨーロッパ / 国際文化交流 / 文化政策 / 対外政策 / 国際関係 / アイデンティティ / ネーション |
Research Abstract |
本年度は、現代ドイツの文化交流政策の概略を、戦後史の流れと国際比較の中で明らかにすることを試みた。前期には、連邦共和国の戦後政治社会の転換点であった1970年前後の時期を取り上げ、ドイツに特徴的な国際文化交流の「リベラルな理念」が政策原則となったプロセスを分析した。そこでは文化交流政策の改革が、当時の西ドイツで求められた新しいアイデンティティを反映し、政権交代期のチャンスの中で実現したことが明らかになった。分析結果は日本国際政治学会研究大会の部会で報告した。 後期には、現代ドイツ・ヨーロッパ、文化政策、国際文化交流、および社会科学諸分野における文化的アプローチに関する既存文献を収集し、国際関係におけるナショナル・アイデンティティの形成と変容、アイデンティティ構築行為としての(対外)文化政策の意義、ヨーロッパにおけるドイツの政治社会的位置づけの変遷について知見を得た。リサーチの過程で、ドイツの文化交流政策におけるヨーロッパ的次元の展開、とりわけ独仏文化協力の進展が、現代ドイツのアイデンティティに重要な意味を持つことが明らかになった。今後このテーマに関してさらにリサーチを進め、戦後ドイツのナショナル・アイデンティティ形成の全体的構図をつかむことを展望している。 以上のような歴史的視点と並行して、他のヨーロッパ諸国との比較の視点からも考察を加えた。すなわち、ドイツ学術交流協会のセミナーに関連して、文化交流政策の一分野である自国語普及事業についてドイツ人研究者と共同で研究する機会を得、日本における英国とフランスの政策を考察した。両国の自国語普及政策がそれぞれのナショナル・アイデンティティを体現している事実と同時に、両国と比較して、ドイツの文化交流政策ではナショナルな枠組みが明確に主張されにくいという特徴が明らかになった。
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Research Products
(2 results)