2000 Fiscal Year Annual Research Report
日独自動車・電機メーカーにおける雇用管理と人材育成に関する比較研究
Project/Area Number |
11630056
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
松丸 和夫 中央大学, 経済学部, 教授 (40146999)
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Keywords | ドイツ / 雇用管理 / 人材育成 / 労働市場 / 自動車 / 電機 |
Research Abstract |
今年度の研究は、昨年度のドイツとヨーロッパ数カ国の電機・自動車関連メーカーにおけるヒアリング結果を検証しながら、日本と欧州諸国の雇用管理・人材育成戦略の相違について考察を深めることができた。日本の対象企業からのヒアリング調査では、以下に述べるように構造的な事業変革が進められており、グローバル化のいっそうの進展において、まさしくボーダレス企業間競争と連携が明らかになりつつある。 まず電機メーカーにおいては、従来の重電部門の採算性低下の下で、システム開発・新技術開発に重点を置いた人材投資が進められている点では、日欧に共通している。開発の仕事は、一言でいえば大量生産や事務処理といった予測可能なルーチン業務と異なり、集中的に企業のリソース(ひと・もの・かね)を投入する必要がある。さらに、21世紀の新たな通信システム開発に関わって「秒新日歩」の先端技術競争において、企業内コア人材の活用に留まらず、人材のアウトソーシングとパートナー企業との共働に大きな役割が期待されている。 自動車及び自動車部品メーカーは、日本の従来型の垂直的分業生産構造がドラスティックに解体しており、日欧・日米資本の入り乱れた開発戦略が採られている。その結果、企業の中核的人材については、欧米の人材管理方式を採用しながら「成果主義」処遇を強める方向で各社とも対応を始めていることがわかった。中でも日本企業で「成果主義」の効果を上げているケースでは、人事処遇の評価基準の社員への一定の公開原則や企業の業績に連動する形で賞与等での処遇改善に踏み切る企業も現れている。 今年度は、最終年度であるが期限まで企業調査に専念したため、まとめた業績を提出することができなかった。報告書の提出と併せて、調査結果の検証と分析をふまえた研究業績を来年度中に発表する予定である。
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