2000 Fiscal Year Annual Research Report
中山間地域における「福祉対応型」農業の概念設計と展開条件
Project/Area Number |
11630073
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Research Institution | The Institute for Science of Labour |
Principal Investigator |
栗田 明良 (財団法人)労働科学研究所, 研究部, 主任研究員 (10072654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 春子 (財)労働科学研究所, 研究部, 研究員 (20221327)
塩谷 哲夫 東京農工大学, 大学院, 教授 (60226107)
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Keywords | 中山間地域 / 農業・農村問題 / 知的障害者 / 高齢農業者 / 定年退取・Uターン / 新規参入農業者 / 健康と生きがい / 協同・共生社会 |
Research Abstract |
自然の環境・条件に大きく左右される農林業は、いわゆる市場原理に基づく企業的経営には概して馴染み難い反面、「健康の維持・増進」と「生きがい創造」的な機能を即自的に有しており、生業として営まれてきた農林業は本来、多様な「労働力」の担い手を受け入れ、それぞれの能力と条件に応じて社会的にも自立した生活を営んでいくことを可能にする「福祉対応型」産業の最たるものとして位置付け得るし、そうした機能を現に多少とも果たしている。 高齢化率がすでに25%を超えている中山間・過疎化地域は上述のごとき「福祉対応型」農業の展開が期待される地域であるとの仮説を実証すべく、本研究の遂行にあたっては、先ず以って(1)知的障害者と(2)高齢(障害)者を主たる対象として、そうした活動に目的意識的に取り組んでいる先進的な事例の発掘に努めると同時に、その活動実態を可能な限り明かにするための現地調査を繰り返し試みる一方、合わせて当該地域における(3)高齢農業者の営農状況や(3)定年退職・Uターンと(4)新規参入等の現状についても把握するといった作業を通じて、「福祉対応型」農業の展開条件等をめぐる大量観察と総合分析・とりまとめにつなげていく目途が立った。 例えば、A県S町に移転してきた厚生施設が手がけている知的障害者の機能訓練に農作業を活用している「農耕班」は前年訪問時の8名から14名に増えて活動内容も一段と向上、地域社会の活性化にも大きく寄与しており、N県Y町における要介護高齢者と「元気」老人の個別訪問による実態調査の結果等もまた、かつてK県I町において高齢者生産活動センターとD型デイサービスセンターの二枚看板を掲げ、「生きがい創造的"生産"活動」を展開していた事例から得た知見とオーバーラップする「健康-仕事-生きがい」の連関を裏付けるものに他ならなかったのである。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 栗田明良: "農山村における高齢者福祉の現状と課題"新しい農村計画. No.105. 9-29 (2000)
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[Publications] 栗田明良: "介護保險は高齢障害者の福音たり得るか"労働の科学. 56・4. 27-31 (2001)
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[Publications] 塩谷哲夫: "障害者と高齢者が関係者とともに人間らしい生活の実現をめざす「設楽福祉村キラリンと〜ぷ」"労働の科学. 56・5. 5 (2001)