1999 Fiscal Year Annual Research Report
日本における戦時体制期・戦後改革期の農地政策に関する実証的研究
Project/Area Number |
11630081
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
坂根 嘉弘 広島大学, 経済学部, 教授 (00183046)
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Keywords | 農地政策 / 戦時体制 / 農地管理 / 小作料 / 農地価格 |
Research Abstract |
本研究の課題は、戦時体制期・戦後改革期における農地政策のあり様を実証的に明らかにすることである。この時期の農地政策について従来の研究は、大方『農地制度資料集成』による農水省(立法側)の政策文書の検討に終始している。そのため、あたかも農水省の政策意図がそのまま実現しているかのような政策評価を行ってきている。しかし、実態はそうではない。本研究の目的は、農水省の文書や府県庁の行政文書、あるいは旧行政村・区有文書、旧地主文書などを幅広く収集し、このような従来の不充分かつ不的確な研究をただすところにある。本年度は、主に、資料収集に力を入れた。資料収集を行った機関(主な調査対象文書)などは以下である。滋賀県県民情報室(戦時体制期の滋賀県庁文書)、滋賀県立図書館(旧河西村役場文書など)、広島県立文書館・広島県立図書館・広島市立中央図書館(広島県報、旧地主家文書)、広島市公文書館(旧大林村役場文書など)、福山市立福山城博物館鏡櫓文書館(旧柳津村役場文書など)、福知山市雲原区有文書、北海道開拓記念館・北海道立図書館(各農場資料など)、東京大学大学院農学生命科学研究科農業資源経済学専攻(農水省資料)、北海道大学・東京大学・京都大学の各図書館及び農水省農業総合研究所資料部・京都府立総合資料館(農水省や各府県の文献資料)。以上により、小作料統制令、臨時農地等管理令、臨時農地価格統制令、自作農創設維持事業、農地作付統制規則、農業生産統制令についての資料がある程度収集できた。特に、小作料統制関係の資料が充実した。このうち、小作統制令、臨時農地価格統制令については、実績の確定を目指し分析作業を進めた。その結果、従来の通説的な理解がいかに不充分であるかが明らかになりつつある。次年度はさらに資料収集に努力し、かつ収集した資料の分析作業に努力を傾けたい。
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