1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11630085
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Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
佐藤 政則 麗澤大学, 国際経済学部, 教授 (10192600)
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Keywords | 銀行合同 / 地方的銀行合同 / 一県一行主義 / 日本銀行考査局 / 日本銀行支店 / 戦時金融統制 / 合同勧奨 / 系列銀行 |
Research Abstract |
申請者の全体的な研究課題は、日本において銀行合同が最も活発に展開された 1920年代から金融恐慌後・昭和恐慌を経て敗戦に至る時期を対象に、銀行合同の実態的検討を行い、閉鎖的・分断的に描かれてきた従来の銀行合同像を修正することにある。具体的には、新たな史料環境や国内外の研究動向を踏まえ、合同推進の媒介者的役割を果たした日本銀行の斡旋原理とその手法を、個々の合同ケースに基づいて検討することにより上記課題を果たす。以上の課題のうち本申請での重点は、戦時期を対象とする次の論点の実証的検討である。(a)銀行合同は、既存の競争関係を再編することであり、決して閉鎖的・分断的なものではない。むしろ特定の合同プロセスが他の合同プロセスと密接に関係して展開する広域的連関性をもったものである。このため日本銀行の合同勧奨の基本原則は取引先銀行に対して公平性を維持することであり、換言すれば、都銀間や地銀間において合同条件やその他に関して競争者間のバランスを確保することであった。(b)1940年頃からの日本銀行は銀行合同に対して能動的・積極的となる。中央銀行が合同促進に乗り出すことにより、日本銀行はインターバンク市場の再編成、換言すれば、地方と都市の金融市場の連関を一元的な金融統制のもとで再編成するという課題を抱え込んだ。このため同行は、地銀育成の観点から、都銀と地銀の資本的・人的関係について奨励から抑制へと変化していった。この点で大蔵省との合同方針は必ずしも一致したものではなく、不断の調整が必要であった。本年度は資料収集・整理に重点をおき、主に日本銀行金融研究所保管公文のうち日銀支店や考査局の関係資料を収集した。なお石川、福井、富山の北陸三県における戦時下の合同については『日経金融』連載「金融風土記」(99年6月〜8月)で発表した。
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