2000 Fiscal Year Annual Research Report
19N,20Nの電磁気モーメントの測定と崩壊準位の核分光
Project/Area Number |
11640277
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
清水 俊 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60294146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下田 正 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70135656)
出水 秀明 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50294153)
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Keywords | 不安定核 / スピン偏極 / β遅発中性子崩壊 / 励起準位 / 傾斜薄膜法 / 偏極電子移行反応 / レーザー光ポンピング / ビームフォイル分光法 |
Research Abstract |
スピン偏極した不安定核ビームは核構造の研究に様々な進展をもたらす。例えば、核の電磁気モーメントは原子核の基底状態の波動関数を求める上で重要な物理量である。それに加えて、われわれは新たな実験法を考案し、その有効性を実証してきた。それは、偏極核のβ遅発中性子崩壊を観測することによって、娘核の励起状態のスピン・パリティを決定できるというものである。近年、安定領域から遠く離れた不安定核を大量に生成しビームとして供給する、不安定核ビーム施設が稼働しつつあり、われわれの方法を用いることによって、特異な核構造を持つとされている不安定核の系統的な研究が可能となる。本研究は、不安定核のスピンを偏極させる方法を開発し、われわれの方法を中性子過剰核19N,20Nの核分光研究に適用することを目標としている。 スピン偏極法として、任意の原子核に適用可能な二種類の方法の開発を行った。一つは(1)不安定核ビームを傾斜した薄膜に透過させる方法、もう一つは(2)スピン偏極した電子を不安定核ビームイオンに捕獲させる方法である。不安定核ビーム施設から供給される極低エネルギーのビームにこれらの方法を適用した例はなく、様々な未知の問題が予測された。そこで、これらの方法を研究するための実験装置を建設し、安定核13C,14N,15Nビームを用いたテストを行った。いずれの方法でも2-4%の核偏極を得ることに成功した。これによって上記の核分光実験が可能となった。平成13年度には、不安定核ビーム施設TRIUMF(カナダ)での実験を行う予定である。
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