1999 Fiscal Year Annual Research Report
重イオン反応生成核のテンソル偏極測定と天体核反応への応用
Project/Area Number |
11640284
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
池田 伸夫 九州大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70193208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉光 強 九州大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70037216)
森信 俊平 九州大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50016078)
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Keywords | 重イオン誘起反応 / スピン偏極 / 天体核反応 / 直接反応機構 / 運動学的同時測定法 / シリコン半導体検出器 / 二次元位置情報測定 |
Research Abstract |
本研究では、高速(数十MeV)重粒子、低速(数MeV)重粒子ともに精度良くエネルギー情報及び二次元位置・情報を決定することが最重要課題である。検出器としては、二次元位置情報を得ることが可能でかつエネルギー分解能のよい、位置感応型シリコン半導体検出器(PSD)を採択した。その種類としては二次元PSD(2D-PSD)とストリップ型一次元PSD(PSSD)の2候補がある。それらの応答を調査し、上記の目的に最適化した検出器系の構築を決定することを今年度の目標とした。しかし、両者の採否により、回路系の構築に大きな差異が生ずるため、ともに高価な個々の検出器を入手しその応答を調査する以前に、回路系構築に関する基礎的研究が不可欠であった。特に重要な鍵はガウス積分型増幅器(GlSA)の応用によるPSDの応答の変化にあった。本研究費によるGlSAの入手後ただちに、九州大学タンデム加速器施設において、既存の一次元位置感応型検出器(1D-PSD)を用いたインビーム実験を行った。その解析の結果、GlSAの使用によって高速重粒子に対する応答には大きな進展が見られたが、低速重粒子に関しては利得が小さく、かえってデータ処理に複雑さを持ち込むことが判明した。この結果をもとに、高速重粒子に関しては2D-PSDを採用し、低速重粒子検出にはPSSDを用いることとした。なお、このインビーム実験の副次的成果として、従来明らかとなっていなかった1D-PSDの低速重粒子に対する応答の詳細に関する大きな知見が得られている。現在、2D-PSDの実機の応答関数に関する研究を進めている。次年度においては、さらにその詳細な調査を継続するとともに、PSSDの応答の研究を開始し、検出器系、回路系の完成を目指す。
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