2001 Fiscal Year Annual Research Report
ソノケミストリー:化学反応性の物理制御概念の確立とその戦略的応用
Project/Area Number |
11640531
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
安藤 喬志 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (70029867)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 光恵 滋賀医科大学, 医学部, 教務職員 (40175576)
宗宮 創 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (80211324)
木村 隆英 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (70167378)
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Keywords | ソノケミストリー / 超音波 / 蒸気圧 / 沃素化 / 反応機構 |
Research Abstract |
ソノケミストリーの反応性を支配する因子の解明を進め、我々がすでに提唱した「化学反応性の物理制御」概念を一層確かなものとすることを目的として研究を行い、以下の結果を得た。 (1)我々はすでに酢酸中の四醋酸鉛とスチレン類の反応においてソノケミカルスイッチング現象を見出し、このスイッチングの機構として、スチレン類のソノケミカル活性化を推定した。 今年度は、この反応での酢酸溶液中におけるキャビテーション気相中へのスチレン類の気化が活性化の律速となっていることを確認するため、四酢酸鉛を除いた反応条件下で超音波照射を行い、ラジカル性活性種の生成量をラジカル捕捉剤の分解量で定量した。その結果、ラジカル捕捉剤の分解量は上述の蒸気圧計算値と直線自由エネルギー関係にあることを見いだした。さらに超音波活性化の根源を求めて、酢酸あるいは酢酸-酢酸カリウム溶液に超音波を照射して発生した気体を定量し、溶媒の超音波照射による活性化過程を検証した。その結果、水溶媒中のソノケミストリーが水の活性化を起源とするのと同じように、有機溶媒中のソノケミストリーは溶媒の活性化を起源とするという結論に達した。 (2)前年度、ヨードホルムと固体水酸化ナトリウム共存下に炭化水素類を超音波照射すると、炭化水素類のヨウ素化が促進され、四臭化メタンを用いると、臭素化が進行することを見いだした。この系において超音波活性化の機構について検討したところ、この反応での直鎖アルカンへの超音波照射効果は、固体水酸化ナトリウムの微細化が主となっていることがわかった。また環状アルカンは中間体ラジカルの立体的安定性に依存し、ソノケミカルなラジカル生成が係わっていることが示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 福堀順敏: "ヒドラへの超音波照射の生物学的影響"滋賀医科大学基礎学研究. 11. 11-14 (2001)
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[Publications] Stavrescu, Ruxandra: "Ultrasonic Degradation of A Dioxin-type Molecule"滋賀医科大学基礎学研究. 11. 15-21 (2001)
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[Publications] 安藤喬志: "Scavenging of the Radical Species Formed in the Sonochemical Excitation of Styrenes"Tetrahedron Letters. 42. 6865-6867 (2001)
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[Publications] 木村隆英: "Ultrasonic Acceleration of Iodinationof Unactivated Aliphatic Hydrocarbons"Ultrasonics Sonochemistry. 9(in press). (2002)
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[Publications] 木村隆英: "超音波による化学反応の制御-化学反応性の物理制御-"超音波TECHNO. (in press). (2002)