1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640537
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
戸田 芙三夫 岡山理科大学, 理学部, 教授 (50036232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 耕一 愛媛大学, 工学部, 助教授 (10116949)
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Keywords | ナフトシクロブテン誘導体 / 最も長い炭素-炭素結合 / 立体的効果 / 電子的効果 / スル-ボンド相互作用 |
Research Abstract |
四員環飽和炭素に種々の置換基を導入したナフトシンクロブテン誘導体の異性体を合成し、四員環の飽和炭素間の結合距離をX線構造解析によって決定した。そして、置換基の種類と置換様式が炭素-炭素結合距離にどのような影響を与えるかを検討した結果、結合を通しての電子的相互作用、即ち、スル-ボンド相互作用よりも、立体的反発が結合を長くする主な原因であることが判明した。 例えば、フェニル基が4個置換した誘導体(A)の炭素-炭素結合の長さ1.720Åに比べて、フェニル基2個とt-ブチル基2個がそれぞれ同じ炭素に結合したジェミナル誘導体(B)では1.729Åと極めて長くなることが判明した。一方、フェニル基2個とt-ブチル基2個がトランスでビシナルに置換した誘導体(C)の炭素-炭素結合は1.686Åであった。これらの結果は、結合が長くなる原因は立体的反発に基づくもので、電子的相互作用に基づくものではないことを示している。即ち、電子的相互作用はフェニル基がトランスでビシナルに結合した(C)で大きくなるはずであるが、実際は電子的相互作用が期待されないBで結合が長くなっている。更に、誘導体(A)のフェニル基のパラ位にフッ素原子を導入した、テトラパラフロロフェニル誘導体(D)の炭素-炭素結合は1.720Åであり、結合を長くさせる電子的効果は見出されなかった。 しかしながら、結合を長くさせる因子として、電子的効果を全く排除できない事実も見つかった。誘導体(A)はナフタレン環に2個の塩素原子が置換しているが、この塩素原子2個をヨウ素原子に置換すると、炭素-炭素結合が記録的長さの1.733Åとなった。ヨウ素原子の電子的効果が考えられる。このことは、次年度の研究で解明したいと考えている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Fomio Toda: "Extremely Long C-C Bond in (-)-trans-1,2-Di-tert-butyl-1,2-diphenyl-and 1,1-Di-tert-butyl-2,2-diphenyl-3,8-dichlorocyclobuta[b]naphthalenes"J.Org.Chem.. 64. 3102-3105 (1999)
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[Publications] Fomio Toda: "The crystal and molecular structure of 2,7-di-tert-4,5,9,10-tetraphenylbenzo[1,2:4,5]dicyclobutadiene"Chem.Commum.. 319-320 (1999)
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[Publications] Fomio Toda: "Stereoselective Thermal Conversion of s-trans-Diallene into Dimeyhylenecyclobutene via s-cis-Diallene in the Ceystalline State"Angew.Chem.Int.Ed.. 37. 2724-2727 (1998)