1999 Fiscal Year Annual Research Report
リジッドな金属-トロポロンキレートを中性配位子とする希土類イオンの協同効果抽出
Project/Area Number |
11640603
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
井村 久則 茨城大学, 理学部, 教授 (60142923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 弘三郎 茨城大学, 理学部, 教授 (60007763)
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Keywords | 希土類 / 溶媒抽出 / 協同効果 / 錯体配位子 |
Research Abstract |
アセチルアセトンや8-キノリノールを配位子とする配位飽和金属(III)キレートがルイス塩基性を有し,水素結合受容体あるいは中性配位子(錯体配位子)として働くことを明らかにしてきた。今年度は,より強い塩基性が期待されるトリス(4-イソプロピルトロポロナト)コバルト(III)(Co(ipt)_3)を合成し,含フッ素β-ジケトンによる希土類(III)イオンの抽出に及ぼす効果を研究した。 1)Co(ipt)_3の合成と精製 標記キレートをトリカルボナト法により合成し,カラム精製,再結晶を繰り返した。キレートの純度は本研究においては極めて重要であり,フォトダイオードアレイ検出器を付けた高速液体クロマトグラフを用いて,遊離の配位子や低次キレートなどの不純物がなく,十分に高純度であることを確認した。 2)Co(ipt)_3の塩基性の評価 クロロホルム中でのCo(ipt)_3と3,5-ジクロロフェノールとの水素結合錯体の生成平衡をFTIRを用いて調べた。得られた生成定数は,トリス(アセチルアセトナト)コバルト(III)(Co(acac)_3)よりも大きく,Co(ipt)_3の配位酸素原子の塩基性がより高いものと推察される。 3)テノイルトリフルオロアセトン(Htta)とCo(ipt)_3による希土類イオンの協同効果抽出 今年度は,酸性キレート試薬としてHttaを用いてCo(ipt)_3の効果を確認し,Co(acac)_3との比較を行った。希土類イオンとしてLa^<3+>とEu^<3+>を用いて抽出実験を行ったところ,Co(ipt)_3を共存させると期待通り極めて大きな協同効果が現れ,その大きさはCo(acac)_3を越えることが明らかとなった。
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[Publications] H.Imura: "Enhancement Effect of Tris(8-quinolinolato)cobalt(III) on the Extraction of Lanthanide(III) with 2-thenoyltrifluoroacetone"Solv.Extr.Ion Exch,. 17. 585-596 (1999)
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[Publications] N.Kameta: "Equilibrium and Spectroscopic Studies on the Complexation of Tris(1-(2-thienyl)-4,4,4-trifluoro-1,3-butanedionato) lanthanords(III) with Tris(2,4-pentanedionato) cobalt(III) as Complex Ligand"Inorg.Chem.Commun.. 2. 124-127 (1999)