2000 Fiscal Year Annual Research Report
DNA修復,組換え,寿命に関する遺伝子mus-10とrecQの構造と機能の解析
Project/Area Number |
11640619
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
井上 弘一 埼玉大学, 理学部, 教授 (60114203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 千津 埼玉大学, 理学部, 助教授 (00114215)
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Keywords | DNA修復 / 組換え / 寿命 / recQ / mus-10 / ミトコンドリアDNA / クエリング |
Research Abstract |
DNA修復と寿命の関連を明らかにする観点から、ここでは糸状菌アカパンカビの遺伝子ふたつに関して解析を進めてきた。ヒトの遺伝病で、早老症を示すワーナーの原因遺伝子として知られているRECQのホモログ遺伝子をPCR法によりアカパンカビより単離し、その塩基配列を決定し、予想される蛋白質の分子量を推定した。この遺伝子の染色体上の位置をRFLP法により決定したところ、第一染色体の右腕末端近くであった。ここには以前我々が単離した変異原感受性突然変異mus-19が位置している。アカパンカビrecQホモログ遺伝子(NC-recQ)の破壊株を作成し、その表現型をmus-19のと比較したところ、良く似ており、互いの間での相補性試験では、変異による表現型は相補ができなかった。これらのデーターは、mus-19がrecQ遺伝子であることを示している。NC-recQ変異株は、MMSなどに対する変異原感受性を示すが、寿命には異常は見られなかった。遺伝学的な解析から、この遺伝子が組換え修復と複製後修復において機能していることが明らかになった。また、アカパンカビのデーターベースの検索で、新たにもうひとつのrecQホモログが存在することが明らかになった。現在、この遺伝子の破壊株の作成とその遺伝子座の位置の決定をおこなっている。 mus-10変異株は、MMSに対する感受性株として単離され、その後の解析で、組換え修復機構で働いているとされていたが、我々は、これが組換え修復系のみならず、除去修復系や複製後修復系でも働いていることを示した。また、この株は、数回の連続継代培養により生長が停止するが、この成長速度の低下と対応する現象として、ミトコンドリアのゲノムDNAに大きな変化が生じることを発見した。現在、mus-10遺伝子のクローニングを行っている。
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