2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11650016
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤居 義和 神戸大学, 工学部, 助教授 (80238534)
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Keywords | 微小入射X線散乱 / 結晶成長 / 表面ステップ / 超高真空 / 表面粗さ / 実時間測定 |
Research Abstract |
(1)微小角入射X線散乱による結晶成長表面の評価法について解析を行った。微小角入射X線散乱装置を用いたPbSe(111)結晶成長表面のその場観察で、表面の二次元核成長に伴う散乱X線強度の振動が確認されている。しかし、その振動振幅は非常に小さいものであったため、様々な入射角、散乱角における結晶成長表面からの散乱X線強度を、運動学的散乱理論と動力学的散乱理論のそれぞれに基づいて幾つかの計算モデルをたてて求め、散乱X線強度振動の振幅が大きくなる最適な条件(入射角、散乱角)を探った。その結果、入射角が全反射の臨界角のときに振動の振幅が最も大きくなり、入射角が大きくなるほど振動の振幅の割合が大きくなること、また、散乱角が鏡面反射角よりも少し大きい角度、あるいは少し小さい角度のときに振動の振幅が大きくなることを求めた。 (2)SPring-8で高輝度放射光を用いて、Crメッキ材料における微小角入射X線散乱による、X線散乱強度分布を測定した。X線入射角の変化に対する、材料表面層における結晶からの回折ピークの角度分布の変化の動力学的散乱理論に基づいた解析により、材料表面から深さ方向の歪分布を求めた。 (3)「X線エネルギー二次元検出システム」を設計、立ち上げた。鉄表面から散乱したX線分布を、シンチレーションカウンター、SSD、そして、CCD素子を利用したX線エネルギー二次元検出システムの3種類の検出器で測定し、比較実験を行った。CCDの1素子にX線の1フォトン〜数フォトンの光量を入射させることにより、エネルギー分解能を持たせた2次元分布の測定が出来ることが分かった。また、フォトンのエネルギー測定のために最適なCCDの測定条件、暗電流ノイズの軽減のための工夫などを求めた。また、X線散乱光のCCDによる幾つかの測定実験を行い、材料表面を観察できる新しいX線顕微鏡の可能性を見出した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Fujii: "Small Angel Glancing X-ray Scattering for Surface Characterization of Ion-Implanted Industrial Materials"Ion Implantation Technology-98. 1. 1121-1124 (1999)
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[Publications] 藤居義和: "超高真空表面X線回折装置による結晶成長表面のその場観察"神戸ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー年表. 4. 75-80 (1999)