1999 Fiscal Year Annual Research Report
応力制限機構を用いたハンチ付梁のエネルギー吸収能力と破壊に関する研究
Project/Area Number |
11650598
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
辻岡 静雄 福井工業大学, 工学部, 教授 (90029356)
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Keywords | ハンチ / H形鋼梁 / 横座屈 / 変形能力 / エネルギー吸収能力 / スロット孔 / 高力ボルト摩擦接合 / 疲労 |
Research Abstract |
今年度は、ハンチ付梁と高力ボルト摩擦接合について以下の基礎的研究を行った。 1、ハンチ付圧延H形鋼梁の加工方法、品質と塑性性状 梁ハンチの形状寸法および製作方法の現状と問題点を調べるとともに、ハンチ付圧延H形鋼単純梁についての単調知力実験を行い、三角形鋼板とのI形溶接の品質、力学性状を検討した。実際の梁端部のハンチ形状ではハンチ開始部が最大応力点となること、いずれの加工方法でも三角形鋼板との溶接では不溶着部や先端での空洞が生じること、ハンチ開始部および最大梁背位置近傍フランジの局部座屈やウェブの面外変形を伴った上フランジの横座屈により耐力低下が生じてハンチ付梁の変形能力は等断面梁にくらべ低下することが得られた。 2、スロット孔を有する高力ボルト摩擦接合部の繰返しすべり実験 スロット孔を有する高力ボルト摩擦接合部のエネルギー吸収能力を梁継手に利用するために動的繰返し実験を行い、繰返し加力時のすべり荷重は初期の最大すべり荷重に比べ低下するがほぼ一定で安定した剛塑性型の履歴性状を呈すること、外スロット孔では中スロット孔に比べより大きなエネルギー吸収能力を示すこと、板座金は加振中のすべり荷重の安定性、摩擦面の損傷防止に役に立つことなどが得られ、板座金・高強度鋼板を用いた外スロット孔の高力ボルト摩擦接合部は優れたエネルギー吸収能力を有することが実験的に確認できた。 3、高力ボルト摩擦接合部の疲労試験 強風や中小地震下での多数回繰返しを受ける場合を検討するため、孔明け加工方法を実験変数として過大孔・スロット孔を有する高力ボルト摩擦接合部の疲労特性を調べた。ドリル孔、せん断孔の加工方法では標準孔と過大孔の疲労特性には差異は認められないが、ドリル孔に比べせん断孔、レーザー孔を用いた場合の疲労強度は明らかに低下することが得られた。なお、スロット孔については実験継続中である。
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