2001 Fiscal Year Annual Research Report
積雪期の居住生活支援と近隣生活活性化のための新しい共有空間をもつ集合住宅計画研究
Project/Area Number |
11650621
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野口 孝博 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10113599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森下 満 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10091513)
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Keywords | 積雪寒冷地 / 居住生活支援 / 近隣生活活性化 / 集合住宅計画 / 屋内型共用空間 / 表出行為 / 中間領域 / 植物栽培 |
Research Abstract |
本年は、まず下記に示す札幌市内の集合住宅廊下の利用実態調査を実施した。最後にこの3年間の調査研究成果を総合的に考察し、北国における居住生活支援と近隣生活活性化に結び付く共用空間のあり方について検討、提案を行った。 ○札幌市内の高層片廊下型集合住宅における廊下の利用実態と共用空間のあり方に関する調査研究 札幌市内の高層片廊下型集合住宅として、廊下が東向きの公団住宅および西向きの市営住宅の2団地を取り上げ、住戸前廊下空間の表出状況、夏冬の廊下の日常的な利用方法、特に冬期の廊下利用と関連するバルコニーの利用実態調査および居住者に現状の廊下とこれから北国で考えられる廊下のあり方について意識調査を実施し、北国における住戸近傍での屋内共用空間のあり方について検討した。これらの調査研究を通して明らかになったことは以下のとおりである。(1)両団地ともに廊下は個人の生活の表出空間としてよく利用されている。特に公団住宅においては冬の間住戸前のスペースに鉢植えが多数おかれ、長い片廊下が緑の連続空間になっていることが明らかになった。バルコニーよりもよく使われているのである。その原因としてはまず居住者の緑要求がつよいのに加えて、各住戸前が柱型でアルコーブ化していること、地域暖房のため廊下が冬の間も適切な温度を維持していること、東向きの開口部から十分な採光が選られることなどが明らかになっている。(2)植物栽培行為そのものが伝搬するとともに、こうした植物栽培を通して近隣のコミュニティの活性化現象が見られること。(3)こうした廊下の利用法に対する居住者の評価は高い。同時に今後のあり方として住戸近傍のスペースを個人の楽しみや近隣生活を営む場所として利用することに対する居住者の要求もつよいのである。 総じて北海道のような北国においては、集合住宅の廊下などの住戸近傍の屋内空間を内と外の中間領域として、また近隣生活に対応するコミュニティスペースとして位置付け必要に応じてバルコニー機能も取り込んだ新しい屋内型共用空間計画を構築する有効性が検証された。
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Research Products
(2 results)