2000 Fiscal Year Annual Research Report
イネEPSP合成酵素遺伝子とrps40遺伝子の転写後発現制御機構
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11660001
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
貴島 祐治 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (60192556)
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Keywords | イネ / 5-enolpyruvylshikimate-3-phosphate(epsp)合成酵素遺伝子 / リボソームタンパク質S-40遺伝子 / スペーサー領域 / アンチセンスRNA / 変異の蓄積 |
Research Abstract |
イネの5-enolpyruvylshikimate-3-phosphate(epsp)合成酵素とrps40(rps20に変更)遺伝子は第6染色体短腕waxy遺伝子の下流約45kbsに位置する。両遺伝子は生体維持に必須のハウスキーピング遺伝子である。この2つは逆鎖にコードされており、3'側を向い合わせにわずか300bpのスペーサーによって隔たっているにすぎない。本年度は2つの近接する遺伝子がスペーサーを介して、互いの発現に影響を与えているか否かを調査した。まず、Oryza sativaのジャポニカおよびインディカの葯、頴花、実生、根からそれぞれRNAを単離し、ノーザンハイブリダイゼーションを行ったepsp合成酵素遺伝子では頴花、実生および根で比較的強いシグナルを得ることができたが、葯では非常に弱いシグナルしか得られなかった。rps20は根以外でシグナルが検出された。明瞭に検出されたシグナルについても組織間で若干の違いが認められた。次にスペーサーを交叉した転写産物の存在を調査するため、イネカルスのcDNAを合成し、RT-PCR実験を行った。2つの遺伝子のコード領域にプライマーを設計し、増幅産物がスぺンサーを含むようにPCRを行った。その結果、互いの遺伝子の転写がもう一方の遺伝子領域に侵入したと思われるバンドが得られ、3'RACE分析によってもEPSP合成酵素遺伝子から伸長した転写物がrps20遺伝子内で終結している断片が見出された。従って、現在のところ、スペーサーをまたぐ転写産物の存在を否定するデータ得られていない。このことは、2つの遺伝子は互いにアンチセンスRNAを伸長している可能性が高いことを示唆しており、今後両遺伝子の発現調節とどのように関連するかより詳細な調査が必要となる。これとは別にイネのカルスを20年継代した細胞系において、両遺伝子領域の変異を調査した結果、遺伝子のエクソン、イントロンと比較し、スペーサーは極めて変異に富むことが明かになり、スペーサーへの変異の蓄積が他の部位と比較し、有意に高いことを示すデータを得た。
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[Publications] H.Nagano: "Structural differences in the vicinity of the waxy locus among the Oryza species with the AA-genome : identification of variable regions."Theoretical and Applied Genetics. 100. 376-383 (2000)
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[Publications] H.Nagano: "DNA sequences homologous to rice tungro bacilliform virus (RTBV) present in the rice genome."Rice Genetics Newsletter. 17. 103-105 (2000)
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[Publications] K.Kitamura: "Position effect of the excision frequency of the Antirrhinum transposon Tam3 : lmplications for degree of position-dependent methylation in the ends of the element."Plant Molecular Biology. (in press).