1999 Fiscal Year Annual Research Report
ラン藻類の遷移に及ぼすキレート物質の影響に関する研究
Project/Area Number |
11660099
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
矢木 修身 国立環境研究所, 地域環境研究グループ, 総合研究官 (40132865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 一弘 国立環境研究所, 地域環境研究グループ, 主任研究員 (30193717)
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Keywords | ラン藻 / Microcystis / Oscillatoria / Hormidium / Anabaena / キレート物質 / 水の華 |
Research Abstract |
富栄養価の進行の著しい霞ヶ浦及び鳥取県湖山池を対照に、Microcystis、Anabaena、Phormidium、Oscillatoria属のラン藻類を用いて藻類培養試験による藻類増殖の制限物質の季節変動ならびに錯化容量の変動を調べた。さらに各種ラン藻の増殖に及ぼすキレート物質の影響を調べた。 霞ヶ浦の湖心において、Microcystisの増殖制限物質は、1999年4,7,8月が、キレート物質であり、他の月はキレート物質の他にリンと窒素が同時にキレート物質になっていた。これまでは、夏期の湖水は、リンと窒素が制限物質でありキレート物質は制限にならず、その他の月は、リンとキレート物質が制限物質となっていた。最近は、年間を通して常にキレート物質が制限物質に含まれ、かつ窒素を制限物質とする月が多く認められた。以上より、Microcystisにとって、最近の霞ヶ浦の湖水は、増殖困難な環境となっていることが推定された。Phormidium属の制限物質に対する挙動はMicrocystis属のものに類似していた。Anabaena属はMicrocystis属に似していたが、窒素固定能を有するため窒素が制限になることはなかった。Oscillatoriaは他の種と異なり窒素が制限物質でキレート物質は制限とならなかった。ラン藻によりかなり性質が異なっていた。また、藻類の培養試験の結果、湖水の錯化容量とキレート物質量とは相関関係が認められ、錯化容量からMicrocystisの現存量の予測の可能性が示唆された。
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