2000 Fiscal Year Annual Research Report
ラン藻類の遷移に及ぼすキレート物質の影響に関する研究
Project/Area Number |
11660099
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢木 修身 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (40132865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 一弘 国立環境研究所, 地域環境研究グルーブ, 主任研究員 (30193717)
栗栖 太 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (30312979)
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Keywords | Microcystis / Anabaena / Oscillatoria / Phormidium / 藻類培養試験 / EDTA / キレート物質 / ラン藻 |
Research Abstract |
霞ヶ浦において大発生していたMicrocystisが著しく減少し、代わりにOscillatoriaやPhormidium等が異常発生している。この藻類種の遷移を明らかにするため、霞ヶ浦から分離した4種の藻類を用いて藻類培養試験を行い、種の遷移に及ぼす化学的環境因子について検討を加えた。 今年度は、Microcystis、Anabaena、OscillatoriaならびにPhormidiumの4種の藻類を用いて霞ヶ浦における藻類増殖制限物質を調べた。25℃、2,000lx、白色蛍光灯連続照射条件下で静置培養を行い、藻類の増殖量を測定した。藻類培養試験結果から、Oscillatoriaの場合、窒素の単独添加あるいは窒素とリンの同時添加で増殖が促進され、リンまたは窒素が増殖制限物質であり、EDTAを必要としなかった。Anabaenaの増殖制限物質はEDTAであり、Phormidiumは、リン・窒素、鉄、またはリン・窒素、EDTAであった。これらの結果は、これまでと同様の傾向を示した。Microcystisの増殖制限物質は、EDTAまたはEDTA・リン・窒素であったが、EDTAのみの添加では増殖量は以前ほど認められず、利用可能なリン、窒素が減少しているのではないかと考えられた。 リン、窒素、鉄、EDTAを上記と同様の濃度添加した湖水ならびにM-12合成培地を用いて、アミノ酸の4種の藻類の増殖に及ぼす影響を調べた。リジン、ヒスチジンを0.5mg〜10mg/lの範囲で添加した。湖水を用いた場合には、リジン、ヒスチジンの4種の藻類に対する増殖阻害は、Anabaenaで最も高く、リジン、ヒスチジンが1mg/lで強い阻害が認められた。MicrocystisとPhormidiumは5〜10mg/lで阻害が認められたが、Oscillatoriaは10mg/lでも阻害が認められず微量有機物に最も影響を受けない性質を有するものと考えられた。M-12培地の場合では、両アミノ酸の阻害は、Microcystisでは1mg/lで阻害が認められ、湖水を用いたときより強い阻害が認められた。
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[Publications] 高村義親,千野まり子,長田綾子,西原宏史,矢木修身: "Microcystis属およびOscillatoria属シアノバクテリアの各種有機物に対する増殖応答とL-リジンとL-ヒスチジンによる増殖阻害"環境科学会誌. 12・3. 329-337 (1999)
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[Publications] 南条吉之,細井義彦,城戸由能,矢木修身,稲葉一穂: "湖山池における藻類増殖の制限物質について"水環境学会誌. 23・11. 690-696 (2000)