2000 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪酸代謝の制御に対するセサミンと共役型多価不飽和脂肪酸の共同効果解析
Project/Area Number |
11660130
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
菅野 道廣 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (70038181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古場 一哲 長崎県立シーボルト大学, 看護栄養学部, 講師 (30290638)
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Keywords | 共役リノール酸 / 共役リノレン酸 / 白色脂肪組織 / 褐色脂肪組織 / 脂肪酸β酸化 / レプチン / 腫瘍壊死因子α / ラット |
Research Abstract |
前年度の研究で、動物種により応答に差はあるものの、共役リノール酸(CLA)とセサミンの同時摂取は体脂肪量減少に有効な対応策であることが確認された.CLAの肥満防止効果を高揚する方法として、本年度は共役リノレン酸(CLNA)についてラットを用いCLAと比較検討した.サフラワー油(リノール酸、LA)およびエゴマ油(α-リノレン酸、LNA)を対照油とし、それらをアルカリ異性化してCLAおよびCLNA標品を調製し、大豆油6%を含むAIN93Gタイプの飼料にそれぞれ1%添加し4週間飼育した.ラットの摂食量、成長には各群間で差はなかったが、白色脂肪組織(腎臓周辺および睾丸周辺脂肪組織)重量はCLA摂取で有意に減少し、CLNA群でも同様の効果が観察された.褐色脂肪組織重量には影響はなかった.しかし、肝臓ミトコンドリアのカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼおよびβ酸化活性に対しCLAには明確な上昇効果はなかったが、CLNA摂取では共に約2倍以上に高まった.血清のTNF-α濃度はLA群に比べ他3群で有意に低下した.血清レプチン濃度には食餌脂肪依存性の明確な応答はなかったが、CLNA群ではCLA群より有意に低かった.血清コレステロール濃度はCLNAの摂取で有意に低下したが、トリグリセリド濃度は著増した.また、血清の過酸化脂質(TBARS)と肝臓トリグリセリド濃度も増加した.これらの値には他の3群では差は認められなかった. この実験では、CLNAにCLA以上の体脂肪減少効果は認められなかったが、標品中の共役酸含量が低かったこと(17.2%)を考慮しなければならない.しかし、CLNAにはCLAとは異なる生理活性があり、少なくとも肝臓での脂肪酸酸化活性を明確に上昇させることから、抗肥満効果が期待される.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.Yamasaki et al.: "Dietary conjugated linoleic acid increases immunoglobulin productivity of Sprague-Dawley rat spleen lymphocytes"Biosci.Biotechnol.Biochem.. 64(10). 2159-2164 (2000)
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[Publications] M.Sugano et al.: "Lipids and immunology"Asian Pacific J.Clin.Nutr.. 9(2). 146-152 (2000)
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[Publications] 菅野道廣 ら: "ラットにおける共役リノール酸の体脂肪減少作用に対するセサミンと食餌タンパク質の影響"必須アミノ酸研究. 158. 56-60 (2000)
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[Publications] M.Sugano: "Isomeric fatty acids : Their physiological significance and health implications"World Rev.Nutr.Diet.. 88. 238-242 (2001)