Research Abstract |
1.刈り払いにともなうアズマザサの桿発生と地上部器官形成 成長期において繰り返される刈り払いで,刈り払いの都度桿が発生し,夏以降においてはむしろ刈り払いが地下茎芽の休眠打破に作用し,短期集中刈り払い法の有用性がうかがえた.刈り払いにともなって発生する桿は,刈り払いの回数を重ねるにつれ,桿長の減少とともに,桿の分岐数や葉数の増大,葉サイズやC/F比の減少が見られ,いわゆるわい生形態が発現し,刈り払いストレスが強く生じていると見られた.また,クロロフィル蛍光測定で得られる光合成収率は,刈り払いによる再生の都度,春から夏にかけて緩やかに,夏から秋にかけてやや急に低下することがわかった. 2.刈り払いにともなうコナラ実生の萌芽枝の発生と光合成系の再生 芽鱗痕直上の切断では,芽鱗痕上部,芽鱗痕付近,節間,子葉えきから萌芽枝が発生し,萌芽枝の発生は部位別の発生状態により4タイプに分類された.子葉えき直上の切断では,節間および子葉えきから萌芽枝が発生し,萌芽枝の発生は3タイプに分類された.子葉えき直下の切断では,萌芽枝はまったく発生しなかった.切断後の実生の成長諸量すなわち伸長ユニットの数,枝の分岐,枝伸長量,葉量は,萌芽枝発生タイプによる明らかなちがいはなく,これら成長諸量は切断時の実生サイズに強く依存していた.切断実生の成長諸量が切断しなかった実生のそれとほとんど変わらなかったことから,「台切り効果」が認められ,更新補助作業の簡略化が可能と考えた.なお,陽生低木種の萌芽枝発生については,発生しにくい樹種としてクマイチゴ,タラノキ,ヌルデなど,発生しやすい樹種としてヤマブキ,ムラサキシキブなどがあり,後者が更新樹種に与える影響に関しては各樹種の分散構造との関係で検討する必要がある.
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