1999 Fiscal Year Annual Research Report
里山の森林景観の生態学的基本構造とその整備に関する総合的研究
Project/Area Number |
11660144
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
藤本 征司 静岡大学, 農学部, 助教授 (00113621)
|
Keywords | 森林景観 / 里山 / 樹形 / 腫多様度 / 相対成長 |
Research Abstract |
主要研究対象地である静岡大上阿多古演習林森林ステーション<森の駅>周辺の現況調査などについては、その最重要調査地となる「原始の森」復元試験地(約15ha)内の大面積固定試験地(3.96ha)の毎木調査(胸高直径5cm以上)などを終了した。立木本数は2137本/ha、平均胸高直径14.3cmと、まだ森林群落は未発達な状態に留まっていたが、出現樹種数は79種と、これまでに大面積を対象として調査された他地域の試験地の結果よりも、種数がかなり豊かであることなどが判明した。また、システム収穫表を使って将来予測を試みた結果、現在は種多様度(シャノン・ウィーバーのH')は2.29とそれほど高くないが、1度間伐を行なうだけで、H'が3近くまで上がることや、間伐を繰り返すことで、50年後の平均胸高直径や最大直径が大幅に増加することなどがわかった。一部区域(約0.7ha)については、実際的整備に向けて間伐木の選木も実施した。比較対象となる「生産の森」内のヒノキ人工林・モミ天然更新地(約0.9ha)の標準地調査、間伐木の選木、モミ稚幼樹の侵入状況調査なども行なった。基礎データとして重要となる針広稚幼樹の分枝パターンや樹形などの解析については、今年度は、モミ、イヌカヤ、スギ、ウラジロモミ、ネズコ、アカガシ、アラカシ、ケケンポナシなど15個体程度を対象に解析を終了した。その結果、針葉樹の樹形は、枝条の総伸長量f(x〉が時間xのほぼ3剰に比例する割合で増える傾向があることや、そのことと針葉樹の枝条形成特性には密接な関係があることなどが示唆された。森林景観に出入りする動物相の観測・分析については、今年度も、すでに設置済みのビデオカメラシステム1台による観測を継続したが、結果を取りまとめるまでには至らなかった。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 大江記代: "森林景観に出現する昆虫類などの観測"46回日林中央大会講演要旨集. 32-32 (1998)
-
[Publications] 藤本征司: "森林景観に出現する動物相の長期観測"静岡大学演習林報告. 23. 45-55 (1999)
-
[Publications] 藤本征司: "引佐演習林の森林景観の生態学的基本構造"静岡大学演習林報告. 23. 56-62 (1999)
-
[Publications] 藤本征司: "針葉樹のシュート形成と樹形"46回生態学会大会講演集. 100-100 (1999)
-
[Publications] 東京農工大学演習林: "森の公開講座"東京農工大学. 314 (1999)