2000 Fiscal Year Annual Research Report
赤潮微細藻に走化性を示す殺藻細菌の分離とその"ミサイル"的利用による赤潮防除
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11660187
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
深見 公雄 高知大学, 農学部, 教授 (30181241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 真佐雄 高知大学, 農学部, 助教授 (70274363)
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Keywords | 殺藻細菌 / 赤潮防除 / 増殖阻害 / 走化性 / "ミサイル"的利用 / 殺藻特異性 / 微生物農薬 / Gymnodinium mikimotoi |
Research Abstract |
殺藻細菌を用いた赤潮防除を実用化する目的で,殺滅する植物プランクトン種ができるだけ特定種に限定された細菌株,あるいは走化性により特定のプランクトン種に対して誘引されるような細菌株を分離し"ミサイル"的に赤潮防除に用いる方法を検討した. 昨年度の研究により88株の殺藻細菌が新たに得られ,そのうちの23株が赤潮渦鞭毛藻Gymnodinium mikimotoiのみを殺滅した.しかしながらその活性は,継代培養をかさねるにつれて次第に消滅するなど,非常に不安定であることが分かった.一方,分離殺藻細菌の中には運動性を保有する株が12株あったため,これらを用いてG.mikimotoi・Skeletonema costatum・Chattonella antiqua・Heterosigma akashiwo・Heterocapsa circularisquamaの5種の赤潮プランクトンに対する走化性試験を行った.その結果,6株の殺藻細菌がいずれかの試験藻に対して有意な走化性を示した.しかしながら,走化性と殺藻活性の間にはほとんど相関が見られなかった.走化性を示した6株の細菌のうち,上記5種の試験藻のいずれもを殺滅するにもかかわらずC.antiquaに対してのみ走化性を示したUA40-2株を用いてさらに実験を行った.その結果,本菌株は藻類との二者混合培養ではC.antiquaおよびG.mikimotoiのいずれをも同様に極めて速やかに殺滅するにもかかわらず,両プランクトン種を混合した培養液に本菌株を接種する三者混合培養では,走化性を示すC.antiquaのほうをG.mikimotoiより速やかに殺滅することが分かった. 本研究の結果から,特定の赤潮植物プランクトンに対して走化性を示す殺藻細菌が世界で初めて報告されるとともに,これまで分離された殺藻細菌のほとんどが様々な赤潮藻に対して広く阻害効果を示すにもかかわらず,現場では殺藻細菌の赤潮藻に対する阻害効果が種特異的に起こることが示唆されている理由がある程度説明可能となった.
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