1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11660189
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松井 誠一 九州大学, 農学部, 助教授 (60038297)
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Keywords | クルメサヨリ / サヨリ / 生活史 / 成長 / 移動 / 成熟 / 産卵 / 分類系統 |
Research Abstract |
クルメサヨリについては筑後川感潮域と有明海沿岸において毎月1〜2回、たも網、繁網、稚魚網によって得た標本を用いて成長、移動、成熟を、水槽実験によって塩分と受精・孵化との関係を解析した。その結果、雌の生殖腺重量指数の推移と採集仔魚の耳石に現われる日周輪による孵化日の推定によって産卵期が4〜8月であり、産卵場所が感潮域上限域であること、体長5mmで出現した仔魚は11月まで河川内で過ごし、直線的な成長を行い、一部は成魚とほぼ同じ体長12cmmに達すること、その後、有明海に下り、冬季を過ごした後、翌年4月には体長11〜15cmとなり筑後川に遡上すること、寿命が1年であるを明らかにした。さらに卵は塩分0〜8で90%以上の受精率、塩分0〜16で正常な孵化を示し、卵の性状からも本種が産卵のため低塩分域をもとめて感潮域上限域に遡上することなどが解明された。 サヨリについては有明海、博多湾および瀬戸内海の豊前沿岸と別府湾を調査域とし、採集と市場調査結果の末、瀬戸内海沿岸で安定して採集されることがわかり、1999年9月から苅田港を中心に釣と定置網による採集調査を行った。また、6月には流れ藻に付着した卵塊を採集し、その孵化仔魚の飼育標本を用いた耳石分析によって輪紋が日周輪を示し、輪紋数から1本を差し引いた値が孵化日であることがわかった。苅田港の位置する豊前海の沿岸部で4〜11月に体長15〜23cmが採集されたが、12〜2月では採集ばかりでなく市場への水揚げもなく、この水域の沿岸域からほかに移動することが示唆された別府湾には冬季にも棲息するが豊前海のサヨリとの関係については現在のところ不明である。豊前海と別府湾の標本による雌の生殖腺指数は9月以降2〜3%と低く、1月になって4〜5%とわずかに上昇した。卵塊の出現状況により3月にはこの値は急上昇することが推察されるが、現在、標本の入手に努力している段階である。
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