2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11660189
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松井 誠一 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (60038297)
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Keywords | サヨリ / 形態変化 / 卵内発生 / 卵の性状 / 分布 / 成長 / 移動生態 / 仔稚魚の塩分耐性 |
Research Abstract |
クルメサヨリは昨年度の研究成果として生後1年で産卵し、約1ヶ月以内に斃死することを明らかにしたが、産卵後の親魚を今年度継続飼育した結果、一部は生存し、ほとんど成長しないまま2歳になることがわかった。サヨリについては昨年度、耳石輪紋の日周性の検証と成熟様式の一部を解明した。本年度は採集した標本や飼育個体を用いて形態の変化過程を各部の相対成長と化骨によって求め、本科の特徴とする下顎の伸長はふ化直後から始まり、体長60mm程度で体長比5%を最大に以後ほとんど変化しないこと、この体長以後は他の体部も成魚の特徴を示し、化骨も担鰭骨を除いて終了することなどが明かとなった。さらに採集と人工受精卵を用いて水温と塩分の耐性やふ化時間との関係を求めた結果、ふ化時間=-1.029水温2+43.484水温=380.64の関係があり水温15℃で25日、25℃で7日でふ化するが22℃でふ化率が高いこと、20ppt以上で高いふ化率であるがOpptでも90%代と塩分には広い耐性を示すことを明らかにした。また、稚魚の成長には体長=1.56ふ化後日数+7.72の関係が求められ、ふ化し魚の体長は7.7mm、その後1日に約1.6mmという早い成長が得られた。野外における生態調査は福岡県の豊前海を中心に稚魚網、釣り、定置網漁業の漁獲物によって採集し、それらの採集場所、体長、個体数をもとに解析した。その結果、本種は4〜6月にごく沿岸域で流れ藻に纏絡卵を生み、仔稚魚は岸部を中心に蝟集して動物性ブランクトンを捕食しながら急激な成長をとげ、9〜10月に成魚を同じ体長12cm程度となる。そして11〜2月には沿岸域を離れ沖合いの島嶼部に移動することが示唆され、4月に産卵のため豊前海の浅所に来遊する生活が解明された。
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