2001 Fiscal Year Annual Research Report
地域用水管理のためのパートナーシップ形成の可能性に関する研究
Project/Area Number |
11660216
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹谷 裕之 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (10023491)
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Keywords | 地域用水管理 / グランドワーク / 農村型環境管理 / 都市型環境管理 / パートナーシップ / 甲良町 / 蒲生町 / 集落機能 |
Research Abstract |
平成13年度は犬上川沿岸用水の甲良町、日野川沿岸用水の蒲生町を取り上げ、調査研究した。その結果、まず(1)甲良町でのグラウンド・ワーク活動による沿岸用水の地域用水としての再生過程は、「せせらぎ遊園」のまちづくりとして蒲生町では「伝統と近代を結び会わせたむらづくり」として結実し、水の恵みを大切にする伝統、卓越した水の利用技術の再生、地域の文化として位置づけていることに特徴がある。(2)その取り組みが成功を収めた要因は、効率優先の農業生産基盤整備に対する住民の批判を契機に、混住化社会の多様な住民の価値観を束ね、農環境と住環境を両者を視野に入れた住民参加の新たな町づくり、むらづくりとして取り組まれたことが明らかになった。(3)目標の立て方、組織や個人の結集・組織化の方法、運動の進め方、リーダーとその機能発揮のあり方には、日本農村に固有の集落機能を活かしつつ、混住化、世代分化を踏まえ、多世代参加、男女共同参画を特質とすることを解析した。三島市や福岡県遠賀川のグランドワーク活動が都市型の資源環境管理組織とすると、ここでの地域用水・土地の管理は農村型パートナーシップによるものであることが明らかとなった。 なお、本年度は併せて、グランドワーク三島実行委員会の参加組織、並びに遠賀川の資源環境管理に関わる組織の構成と活動内容について調査整理した。 これらの解析の結果、脆弱化する農業用水管理の再生には、農業用水を地域用水として位置づけ、この地域用水管理のためのパートナーシップが現実に形成され機能発揮しつつあることが解明された。
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