2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11660295
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大森 保成 名古屋大学, 生命農学研究科, 助手 (60152261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 勝洋 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (10012022)
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Keywords | 脊髄 / 自律神経節後細胞 / 筋層間神経叢 / 粘膜下神経叢 / NADPHジアフォラーゼ / 一酸化窒素 / 大腸 / 鶏 |
Research Abstract |
鶏の消化管には交感神経、副交感神経、Remakの腸神経による外来性神経支配、および腸管の壁内に存在する筋層間神経叢と粘膜下神経叢による内在性神経支配があり、これらがお互いに協調して消化管の消化、吸収、排泄機能を調節している。本年度は腸管のホールマウント標本で筋層間神経叢と粘膜下神経叢における一酸化窒素作動性神経細胞の分布を、NADPHジアフォラーゼ(NADPHd)の酵素反応により調べた。一酸化窒素は非アドレナリン作動性、非コリン作動性の神経伝達物質で、腸管運動の際に腸管壁の平滑筋に作用してこれを弛緩させることが知られている。NADPHd反応陽性神経細胞は食道、腺胃、十二指腸、空腸、回腸では筋層間神経叢の神経節に多く、粘膜下神経叢では少なかった。筋層間神経層では神経細胞体を含む神経節と、神経節間を結ぶ神経線維束が頭尾方向に細長く伸びた多角形の網目構造を形成していた。十二指腸、空腸、回腸では輪筋層の筋線維束に沿って走る陽性神経線維束が多く観察され、神経線維束の所々に陽性神経細胞体が散在していた。一方、盲腸底部、盲腸体部、直腸では粘膜下神経叢と筋層間神経叢の両方にNADPHd反応陽性神経細胞が観察されたが、粘膜下神経叢の方に多かった。両者の神経叢は陽性神経細胞を含む神経節と神経線維束が頭尾方向に引き伸ばされた多角形の網目構造を形成しているが、粘膜下神経叢の方が網目が密であった。また、筋層間神経叢では頭尾方向に走る神経束がより太く、一方、粘膜下神経叢では輪状方向に走る神経束がより太かった。これらの結果から、鶏の上部消化管と下部消化管では筋層間神経叢と粘膜下神経叢の一酸化窒素作動性ニューロンによる消化管支配に差があると思われる。この相違が消化管の機能とどのような関係があるのかは明らかでない。
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