2001 Fiscal Year Annual Research Report
発生、成長過程での消化管平滑筋モチリン受容体の変化とその調節因子の解明
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11660301
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
北澤 多喜雄 酪農学園大学, 獣医学部, 助教授 (50146338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹花 一成 酪農学園大学, 獣医学部, 教授 (80137413)
横田 博 酪農学園大学, 獣医学部, 助教授 (90137414)
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Keywords | ニワトリ / 胃腸管 / 成長 / Motilin / Nitric oxide / Motilin 含有細胞 / NANC神経 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は以下に示す通りである。(1)Chicken motilin(MT)の活性部位とMT反応性の生後変化:Chicken MT, canine MT, rabbit MT, porcine MTの活性をウサギ十二指腸、ニワトリ回腸で比較した結果、chicken MTで4位のamino酸がlleからPheに変化することがchicken MTのニワトリMT受容体への活性を高め、ウサギMT受容体への活性を低下させる原因になっていることが推察された。MTの収縮反応は、生後100日までの検討では腺胃においてのみ最大収縮が50%から10-15%に低下した(小腸は変化なし)。しかし、atropine下ではその様な減少は認められなかったので、MT収縮の神経性成分のみが生後減弱すると考えられた。(2)腺胃支配神経とその日齢変化:ふ化1-50日齢のニワトリ腺胃では神経刺激(TMS)により誘起される反応はいずれも収縮であり、コリン性神経の興奮が関与していた。頻度反応関係は日齢により殆ど変化しなかったのでコリン性神経経路はふ化時、既に完成していると推察された。一方、atropine, guanethidine下(非アドレナリン非コリン性反応の観察条件、NANC)でTMSを行うと複雑な反応(3種類)が誘起された。1,低頻度0.5-1Hzで誘起される収縮、2,2Hz以上で誘起される弛緩、3,刺激終了後に出現するリバウンド収縮。0.5-1Hzで誘起される収縮はL-NAME感受性でありNOが関与すると考えられた。2Hz以上の刺激で生じる弛緩は、5-7Hzで最大に達した後減少する傾向にあった。L-NAMEは低頻度(2-3Hz)の刺激による弛緩を減弱させたが、抑制率はふ化日齢と共に低下した。このことから、ふ化1日目で既にNO神経支配は確立しており、その後にL-NAME非感受性(非NO神経)の抑制性神経が発達してくると考えられた。以上のTMSによる機械的反応の解析から、ニワトリ腺胃には、1,コリン性興奮神経、2,低頻度刺激で興奮するNANC興奮神経(L-NAME感受性)、3,NO性抑制神経、4,中頻度刺激で興奮するNANC, nonNO性抑制神経、5,高頻度刺激で興奮するNANC性興奮神経の5種類が存在し、一部は日齢により変化することが明らかになった。(3)Motilin含有細胞の日齢による変化:MT陽性細胞は、幽門、十二指腸、空腸、回腸の粘膜上皮には存在するが、腺胃、筋胃、盲腸、結腸では認められなかった。MT陽性細胞の分布(幽門部に注目)をふ化後経時的(0,1,3,5,10,15,20日目)に検討してみると、0-1日目までは主に粘膜固有層に、5-20日目までは粘膜上皮に認められた。このことより、MT陽性細胞はふ化後0日目から出現し、経時的に粘膜固有層から粘膜上皮に移動するものと推察された。ウサギでは、中枢神経においてもMT陽性細胞の分布が報告されているが、ニワトリでは陽性細胞は認められなかった。
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[Publications] Kitazawa, T., Onodera, C., Taneike, T.: "Potentiation of motilin-induced contraction by nitric oxide synthase inhibition in the isolated chicken gastrointestinal tract."Neurogastroenterology and Motility. 14(1). 3-13 (2002)
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[Publications] Kitazawa T et al.: "Developmental change of motilin-induced mechanical responses in the chicken gastrointestinal tract"Neurogastroenterology and Motility. (投稿準備中). (2002)