2001 Fiscal Year Annual Research Report
進行性鼻壊疽(T/NKTリンパ腫)本態の解明と治療への応用
Project/Area Number |
11670207
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
清水 則夫 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (30226245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 博史 千葉大学, 医学部, 講師 (20237530)
山本 興太郎 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (40000971)
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Keywords | 進行性鼻懐疸 / リンパ腫 / γδTリンパ球 / 診断 / 細胞培養 / NK細胞 |
Research Abstract |
進行性鼻壊疽の本態度を解明する目的で、患者病変部の生検組織からリンパ腫細胞を分離培養後に詳細な解析を行ない、以下の知見を得た。 進行性鼻壊疽の再発と考えられる症例2例(NK細胞リンパ腫1症例、γδT細胞リンパ腫1症例)から、初発時と再発時に病変部および末梢血からEBウイルス(EBV)陽性リンパ腫細胞を長期培養することに成功した。得られた細胞についてEBV末端反復配列(TR)およびT細胞リセプター(TCR)遺伝子分析によるクロナリテイー解析、染色体分析を行った。その結果、EBV-TR解析により2症例とも初発時と再発時の細胞のクロナリティーが一致することが判明した。しかし、初発時と再発時の細胞の染色体パターンは著しく相違しており、2症例とも再発時の細胞の方が染色体異常の数が少なく、単純に初発時の細胞から再発時の細胞が派生したとは考えられない。この結果は、γδT細胞リンパ腫症例にたいするTCR遺伝子解析でも裏付けられた。この症例では、2つあるδ鎖遺伝子は初発時の細胞では何れも再構成していたが、再発時の細胞のδ鎖遺伝子は1本のみ再構成しており、他方は胚細胞型のままで再構成を起こしていなかった。この実験結果も、初発の細胞から時系列的に再発時の細胞が生じたとは考えられず、不死化したEBV感染細胞プールから独立に生じた細胞であることを示唆している。 以上の研究結果は、進行性鼻壊疽の再発症例ではEBV陽性の不死化細胞が化学療法も残存し、新たなリンパ腫の発生母地となっていることを示唆している。したがて、初発時の治療に際し残存しているEBV感染細胞を根絶することが、長期的な予後を考える上で非常に重要と考えられる。残存したEBV感染細胞は化学療法により根絶することは困難であったことから、化学療法とは違う作用機作の治療法を組合わせることにより予後を改善できる可能性があると考えられる。
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