2001 Fiscal Year Annual Research Report
赤血球遊離プロトポルフィリン値を主とする鉛暴露指標の性差に関する研究
Project/Area Number |
11670346
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大森 昭子 熊本大学, 医学部, 助手 (60040193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 幸一 熊本大学, 医学部, 講師 (00094029)
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Keywords | FEP / 鉛中毒 / 性差 / 性ホルモン / 貧血指標 / 動物実験 |
Research Abstract |
本年度は平成11〜12年度と同方法(7〜11月、体重3Kg、雄の日本白色家兎9匹)による追加実験を実施し、得られたデータを追加して4群(計26匹)【I群(6匹);対照、II群(6匹);Estradiol(以下Estと略す)投与、III群(6匹);鉛投与、IV群(8匹);Est+鉛投与】の主な曝露指標の動向を見た。FEP値は4週目からIII, IV群で著しく上昇し、6週目以降はIII群よりIV群の方が低値を示した。血中ALA-D活性は4週目からIII, IV群で著しい活性低下を示し、この2群間に有意差はなかったが、II群は6週目以降でI群より高値を示した。骨髄及び肝のALA-D活性も全血と同様に、明らかな低値を示すIII, IV群間に有意差は見られず、II群がI群より高値を示した。Ht、Hb値は、II, IV群でEst投与後4週目より、III群では10週目に明らかに低下し、4、6週目ではII, IV群間に有意差(II>IV)が見られた。血清鉄の値はいずれの群も正常範囲内であったが、10週目にI群に対してII〜IV群に有意な低下が見られた。GOT, GPT値は、2週目以降にIV群で上昇、II群で上昇の傾向を示した。以上より、(1)鉛によるFEP値上昇へのEstによる相乗効果はみられず、Estによる抑制効果が示唆された。(2)血液・骨髄・肝ALA-D活性では、鉛による活性阻害の著しいIV群にはEstによる鉛への相乗効果は認められず、Estのみ投与群では対照に比べ統計的に有意な活性増加が見られた。(3)貧血指標Ht, Hb値は4週目よりEstにより明らかに低下し、鉛の影響による低下もいくつか見られた。血清鉄の場合、10週目にEst及び鉛による低下が見られ、投与を継続すると、更に明らかな低下が予想されたが、本実験の鉛濃度での耳静注投与実験ではこれ以上期間の延長ができなかった。比較的高濃度の鉛・Est投与の本実験ではこのような結果が出たが、今後、人の曝露条件に近い低濃度長期投与実験でのEstによるFEP等の影響を検討する必要がある。その結果、Est以外の性ホルモンの影響、去勢雌家兎での検討等も考えている。
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Research Products
(1 results)