1999 Fiscal Year Annual Research Report
心嚢液、脳脊髄液および眼球硝子体液への薬物分布とその法医中毒学的解析に関する研究
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11670419
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
守屋 文夫 高知医科大学, 医学部, 助教授 (40182274)
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Keywords | 法中毒学 / 心嚢液 / 脳脊髄液 / 眼球硝子体液 / 薬物分析 / 死後薬物再分布 / 血中薬物濃度 / ガスクロマトグラフィー |
Research Abstract |
薬毒物関連剖検例のうち、腐敗現象がほとんど認められなかった14例につき、脳脊髄液、眼球硝子体液および心嚢液の薬物濃度と血中薬物濃度との関係を検討した。死体では、血液採取部位により薬物濃度が異なる場合が多いので、諸種血液(肺動静脈血、左右心臓血、大動脈血、下大静脈血、腸骨動静脈血および大腿動静脈血)の薬物を定量し、死亡時の血中薬物濃度を最も忠実に表している血液試料を明らかにした上で上記検討を行った。検出された薬物は全部で19種(検出回数=21)であり、その内中性・塩基性薬物が15種(検出回数=16)、酸性薬物が4種(検出回数=5)であった。心嚢液中薬物濃度(x変数)と血中薬物濃度(y変数)の間には、全薬物の場合y=1.09x-0.086(r=0.989)、中性・塩基性薬物の場合y=0.969x-0.072(r=0.993)、および酸性薬物の場合y=1.01x-0.355(r=0.970)と良好な相関関係が得られ、いずれの回帰直線も傾きがほぼ1で、切片が0付近であった。心嚢液は、死体血において得られた薬物濃度が死亡時の血中薬物濃度を反映しているか否かを判断するための試料として有用であること、および失血により血液の採取が困難な死体では血液の代替試料となり得ることが強く示唆された。脳脊髄液と眼球硝子体液は、それらの薬物濃度と血中薬物濃度の相関が心嚢液中薬物濃度と血中薬物濃度ほど良好ではなかったが、薬物の定性分析用試料としての価値は十分認められた。
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Research Products
(1 results)